使用済み核燃料搬出、福井県の高浜・おおい両町長は関電主張に「違和感」 副知事と面談、立地4市町の意見出そろう

中塚寛おおい町長(左)、野瀬豊高浜町長(右から2人目)と面談する櫻本宏副知事=7月10日、福井県庁

 関西電力が高浜原発(福井県高浜町)で保管する使用済み核燃料の一部をフランスへ搬出する計画を福井県に示し、中間貯蔵施設の県外計画地点提示と「同義」としていることに関し、櫻本宏副知事は7月10日、県庁で野瀬豊高浜町長と中塚寛おおい町長と面談した。両町長は、搬出計画を「一歩前進」と評価した一方、「同義との表現には違和感」などと苦言を呈し、原発内にたまり続ける使用済み核燃料の搬出問題の解決に国の責務と覚悟を求めた。県はこれで立地4市町の意見を聞き終え、今後は県が求めている国の再説明の時期や内容が焦点となる。

 野瀬町長は面談で「研究目的とはいえ、使用済み核燃料がサイト外に搬出されることは一歩前進」と評価。ただ、搬出量200トンは関電が県内原発で保管する全量の5%程度であることに触れ「搬出問題が全て解決したということにはならない」と指摘した。

 高浜1、2号機が関電の計画通りに再稼働し、4基体制の運転が続けば5年程度で同原発内の貯蔵プールが満杯になるとし「運転停止せざるを得ない状況にならないよう、国や関電には使用済み核燃料搬出やバックエンド(後処理)全体の現実的なロードマップを示してもらう必要がある」と求めた。使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムを燃やすプルサーマル発電が国内4基にとどまっている現状も挙げ、国は責任と覚悟を持って核燃料サイクルを前に進めるべきだと強調した。

 中塚町長は「約束を履行しなければならない(関電)側が『ひとまず果たした』と言及することに違和感を禁じ得ない。こじれさせている要因ではないか」と批判。中間貯蔵施設の県外計画地点の確定に向けた関電の検討経緯に対しても「一連の説明不足により、立地市町との信頼関係を損ないかねない対応」と述べ、計画地点などのあらゆる可能性の検討と実現に向けた取り組みを迅速に進めるべきだと強調した。

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 その上で「一歩前進した今回の件で(使用済み核燃料の搬出問題の)議論と具体的施策の推進が停滞し、立地の安全確保に逆行するようなことは避けなければならない」と指摘。国に対しては「立地自治体や事業者に委ねるだけではなく、国民を真の意味で守るための国の責務と覚悟を(県に)確認していただきたい」と述べた。

 関電の主張に対し、杉本達治知事は立地市町や県会の意見などを聞いた上で、県として総合的に判断するとしている。県は6月23日、関電の主張を追認した国から説明を受けたが「具体性に乏しい」などと疑問を呈し、4項目について再説明を求めた。今月7日の県会厚生常任委員会で理事者は、国から再説明の時期や具体的な内容は示されていないとし「スケジュールありきでない」としている。

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