道路貨物運送業の上半期の倒産は3年連続で増加 「人手不足」・「物価高」関連倒産が急増

上半期倒産件数は136件 過去10年で2番目に多い

2023年上半期(1-6月)の道路貨物運送業の倒産は、件数は136件(前年同期比19.2%増、前年同期114件)で、上半期としては3年連続で前年同期を上回った。2014年以降の10年間では2014年同期の175件に次ぐ2番目に多い水準となり、運送業を取り巻く市場環境の厳しさを浮き彫りにした。

負債総額は、184億1,900万円(前年同期比9.2%増)で、2年連続で100億円を上回った。負債10億円以上の大型倒産は1件(前年同期2件)と減少したが、負債1千万円以上5千万円未満が61件(前年同期比32.6%増)、負債1億円以上5億円未満が50件(同25.0%増)と中小規模の倒産件数が増加し、負債総額を押し上げた。

燃料費の高騰などによる「物価高」関連倒産は46件(前年同期比58.6%増、前年同期29件)で、約1.6倍となった。2021年以降、新型コロナウイルス感染拡大やロシアのウクライナ侵攻などにより軽油価格が高騰し、高止まりが続いている。軽油価格は6月26日時点で150.8円/リットルと高水準を推移し、「物価高」倒産は引き続き増勢が続くとみられる。
物価高で疲弊する企業が多いなか、「人手不足」も追い打ちをかける。「人手不足」関連倒産は20件(前年同期比53.8%、前年同期13件)で前年の1.5倍超となった。内訳は、「後継者難」が4件(同9件)に減少したが、「求人難」が10件(同4件)、「人件費高騰」が6件(同ゼロ)と大幅に増加した。

もともとの人手不足に加え、2023年から適用された月60時間超の時間外労働の割増賃金率の引き上げなどにより人件費が上昇傾向にある。こうした様々なコストアップに対して、運賃への価格転嫁も一部では進み始めているものの、企業体力の乏しい中小・零細企業では耐え切れず事業継続を断念するケースが増加している。

ドライバーの時間外労働の上限規制が強まる「2024年問題」が差し迫るが、人手不足を時間外労働で補う中小・零細企業では抜本的な対策がいまだ進んでいない。運送業を取り巻く事業環境は厳しさを増しており、今後も道路貨物運送業の企業倒産は増加する可能性が高い。

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