3年生、夏物語2023 野球 野球小僧の熱い夏は終わったが情熱は尽きない 尾崎泰地(竹田3年) 【大分県】

第105回全国高校野球選手権大分大会

7月8日 別大興産スタジアム

1回戦

大分豊府 400 000 000|4

竹 田 100 000 001|2

甲子園の切符を懸けた夏の高校野球大分大会が8日に始まった。開幕戦のマウンドに立ったのは、竹田の尾崎泰地(3年)。開会式では「侍ジャパンに続く世界一の野球小僧となって熱く熱く戦い抜くことを誓います」と宣誓した。注目を集めたエースの初球は113キロのストレート。「トーナメントが決まってから開幕で先陣を切って投げられることは、緊張よりワクワクの方が大きかった」と立ち上がりは悪くはなかった。

惜しまれるのは、一回2死から失策が続き、3連打で4点を許したこと。藤沢賢二監督が「上空の風が強く、判断を誤り失策につながった。もっと徹底できればよかったのだが」と悔やんだのは、その後の尾崎の投球が安定したからだ。先に失点したことで開き直った尾崎は余計な力が抜け、チェンジアップとカーブ、ストレートの緩急をつけた投球で、初回以降は無失点に抑えた。尾崎は「自分のエラーから始まったので抑えることだけを考えた」と小学2年の頃からのチームメートである本田千陽(同)のミットを目がけて投げ込んだ。

選手宣誓を務めた尾崎泰地

尾崎は9回まで一人で投げ抜き、仲間の援護を待ったが、2得点に留まった。「詰めが甘かった」と試合後は悔しさをこらえ切れず涙があふれた。キャプテンとしてチームをまとめた1年間は必死だった。「背中で引っ張れるようなキャプテンになろうと頑張った」(尾崎)。思っていることを叱咤(しった)するタイプではなかった。選手それぞれの性格を見抜き、言葉を選び、配慮を忘れずにチームが同じ方向に向くようにコミュニケーションを図った。藤沢監督が「お前は疲れないのか」と言うほど気配りのできるキャプテンだった。

野球小僧の高校最後の夏は終わった。「やり切ったとは言えない。これで競技人生を終える千陽たちともっと野球がしたかった」と無念さをにじませた。それでも「これは通過点と言えるように、上のレベルで続けたい。この敗戦を今後の野球人生につなげたい」と次の目標に向けて歩み始めた。

 エースとして9回148球を投げ抜いた

(柚野真也)

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