海外の大規模災害出動に備え、解体予定の病院寮で訓練 大津と湖南広域消防

特殊な工具を駆使し、コンクリートの壁に三角形の穴を開ける隊員たち(大津市本宮2丁目)

 大津市消防局と湖南広域消防局が、このほど海外の大規模災害に出動する「国際消防救助隊」の救助訓練を実施した。解体予定の大津市民病院の寮を使い、実際に建物を破壊して、隊員に必要な救助技術の向上を図った。

 国際消防救助隊には全国77カ所の消防本部が登録され、今年2月に起きたトルコ・シリア大地震など22回の出動経験がある。県内では2カ所の消防本部が登録されている。

 4日に行われた訓練では、大津市消防局と湖南広域消防局から登録隊員24人が参加。大地震などで建物が倒壊し、コンクリート壁の奥に倒れた人を救助する想定で実施した。

 隊員たちは2班に分かれ、作業手順を確認しながら壁に三角形の目印をつけた後、「ダイヤモンドダブルブレードカッター」と呼ばれる高い硬度のカッターや、ハンマーとドリルの両方の性質を持つ「ハンマードリル」を使い、厚さ約21センチのコンクリートに穴を開けた。鉄筋を切断できる電動のこぎり「レシプロソー」が使われると、激しい火花が散った。
工具の排ガスなどで息苦しい中、隊員たちは粉じんにまみれながら、真剣な表情で訓練に臨んでいた。

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