富山県南砺市の中山間地、再配達削減へボックス 2024年対策、官民で実証実験

県が南砺市の中山間地の協力世帯に配布した宅配ボックス

 富山県は10日から、南砺市や宅配事業者3社と共同で、同市の中山間地の家庭に宅配ボックスを設け、再配達削減を目指す実証実験を始めた。運転手不足が想定される「物流の2024年問題」を見据え、中山間地の物流を維持するための取り組みで、成果を今後の対策に生かす。9月30日まで。

 実証実験は「箱で受けますプロジェクト」と銘打ち、県が佐川急便、日本郵便、ヤマト運輸の3社、南砺市と連携して行う。

 同市平、上平、利賀の3地域で実施。全世帯の3割に当たる218世帯から協力を得た。各世帯に簡易型の宅配ボックスを無料で配って設置してもらい、宅配事業者は配送時に受取人が不在だった場合、このボックスに荷物を入れる。

 2024年問題は24年4月からトラック運転手に残業上限規制が適用されることに伴い人手不足が懸念される問題で、輸送能力の低下で荷物の配達遅れなどの混乱が予想される。一方、人口減や高齢化が著しい中山間地では宅配便が不可欠なサービスとなっている。

 県は期間中に協力世帯や事業者にアンケート調査を行い、感想を募る。中山間地域対策課は「効果を分析した上で、他地域への拡大なども考えたい」と話す。

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