といず事件 国内外に向け遺族らが会見「市と施設の関係性に問題」

 2014年に宇都宮市の認可外保育施設「といず」で、生後9カ月の山口愛美利ちゃんが死亡した事件を受けて、遺族側が10日、東京都内で国内外のメディアに向け会見を開きました。

 東京都内で日本外国特派員協会が主催した記者会見には、亡くなった愛美利ちゃんの母親とその弁護士などが出席しました。愛美利ちゃんの母親は、監督責任のある宇都宮市が、建築基準に違反している状態にあった施設を長期にわたって黙認・放置していたことなどから、市と託児所の関係性に問題があったと指摘しました。

 生後9カ月の愛美利ちゃんは、2014年の7月、宇都宮市にある認可外保育施設の「といず」で宿泊保育中に熱中症で死亡しました。事件前には、子どもを毛布に包みひもで縛ったり、爪をはがしたりといった虐待を疑う匿名の通報が市に寄せられていましたが、市は抜き打ちではなく事前に連絡したうえで施設に訪問していました。

 この事件をめぐる刑事裁判で施設長の女は、保護責任者遺棄致死の罪で懲役10年、詐欺の罪で懲役6カ月の判決が確定しています。また、両親が市と施設に損害賠償を求めた民事裁判では、施設側に約6300万円の賠償を命じていて、このうち約2000万円を施設と共同で市も支払うとの判決が確定しています。

 市は今後、再発防止に向けた検証委員会を開き、事件の課題などを抽出するとしていますが、遺族側は市が提示した委員5人全員が宇都宮市と関係があるとし、公正で中立な立場ではないと指摘しています。遺族側は、市との話し合いは依然として平行線であるものの、民事裁判の判決などを受け、改めて市に働きかけを行っていきたいとの考えを示しました。

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