被爆体験記 12万件調査 厚労省「1年程度」で完了目指す 原援協要望に方針、体験者救済を巡り

大坪局長(右)に要望書を手渡す武田会長ら=厚労省

 長崎市と市議会でつくる長崎原子爆弾被爆者援護強化対策協議会(原援協)は10日、高齢化する被爆者の援護充実や国の指定地域外で長崎原爆に遭い被爆者と認められていない「被爆体験者」の救済などを厚生労働省に要望した。
 原援協の武田敏明会長(副市長)や相川和彦副会長(副議長)らが厚労省を訪れ、大坪寛子健康局長に要望書を手渡した。
 協議は非公開。武田会長らは、被爆体験者の救済を巡り県市が要望している国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館所蔵の被爆体験記と米原爆傷害調査委員会(ABCC)の研究結果資料の早急な検証などを求めた。
 武田会長らによると、厚労省側は追悼平和祈念館の被爆体験記約12万件の調査について、今月中に着手し「1年程度」で完了を目指す方針を示した。
 ほかに、被爆80年に向け長崎原爆資料館の展示更新に合わせた助成措置を要望したところ、同省側は「検討する」と前向きな姿勢を示したという。

© 株式会社長崎新聞社