西日本豪雨5年、土砂崩れの犠牲者3人を追悼 京都・綾部

土砂崩れで犠牲になった3人の冥福を祈った追悼式で、住民にお礼を述べる稲葉利幸さん(中央)=綾部市上杉町施福寺

 2018年の西日本豪雨から5年を迎え、土砂崩れで3人が亡くなった京都府綾部市上杉町施福寺集落で9日、地元自治会が追悼式を開いた。遺族や住民、市職員ら25人が被災現場で犠牲者に黙とうをささげ、改めて防災への思いを強くした。

 同年7月7日未明、集落の裏山が崩れて民家2軒を押し流し、稲葉利夫さん=当時(80)=と妻英子さん=当時(76)、笹井孝信さん=当時(36)=が犠牲になった。

 雨の中、稲葉さん夫妻の長男利幸さん(54)=京丹後市峰山町杉谷=や、自ら被災し3年前に集落に戻ってきた笹井さんの父定昭さん(73)らが民家の跡地に集まった。復旧工事でコンクリートに覆われた山の斜面に向かって一人ずつ献花し、手を合わせた。

 稲葉利幸さんは「あの日、電話で避難するように伝えるか頭をよぎったが、大丈夫だと思ってしまった。5年がたち、やっと頑張って暮らしていこうという気になった」と話し、「施福寺の方々には3人の犠牲を忘れることなく、大雨の際の避難を続けてほしい」と声を詰まらせた。

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