一年中リンゴが取れる? 水耕栽培実験始まる マキュレ(青森市)

リンゴの苗木を移植した高橋社長(左)ら

 県産リンゴの加工品などを製造、販売する青森市のマキュレ(高橋裕孝社長)は10日、リンゴの水耕栽培の実証実験を始めた。同市第二問屋町の本社社屋の中に栽培槽を設置し、4本の苗木を移植。データを分析して適正な生育環境を把握し、将来的にはリンゴの通年出荷や雇用安定につなげたい考えだ。

 もともと会議室だった部屋を水耕栽培用の簡易施設に改装。栽培槽に自動で液肥を循環させるポンプ装置を置き、植物用の発光ダイオード(LED)を天井に取り付けた。この日は高さ2メートルほどの苗木の根を洗浄、消毒した後、四つの栽培槽に1本ずつ定植。早ければ来年にも小ぶりな実をつける見通しという。

 NTT東日本やNTTアグリテクノロジーの協力を得て、デジタル技術も導入する。スマートフォンなどから24時間どこでも木の様子を確認できるカメラを設置。センサーで温度や湿度、二酸化炭素や液肥の濃度を計測し、各種データを収集する。

 マキュレは2021年度から、リンゴ生産者と加工業者が連携する県の事業に参加し、実際に農作業に従事している。高橋社長自ら雨雪に当たりながら収穫する大変さや、はしごから落ちる危険性を体感。高齢化や労働力不足が進む中でも持続可能で安定的にリンゴを生産する方法はないか-との思いが芽生え、水耕栽培に着目したという。

 今年2月には梨の水耕栽培に成功した鳥取県の園地を視察。青森産技センターりんご研究所や県などの支援を受け、実証実験に踏み切った。順調に育てば、来年2月ごろにもさらに200~300本ほどを植えて規模拡大したい考え。

 高橋社長は「うまくいかない可能性もある」としつつ、「光、水、空気、栄養など環境をコントロールできれば、一年中リンゴを出荷できるようになって雇用も安定する。まずはいろいろ分析して、どうしたら木が良くなったり悪くなったりするのか傾向を見極めたい」と話した。

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