戦時下の人々の暮らしを紹介する「戦争遺品展」が、京都府宇治市の市歴史資料館で開かれている。当時の紙芝居や雑誌、教科書などを並べ、戦争が激化するにつれて娯楽や子どもの教育まで戦時色に染まっていく様子を伝えている。
同館と市平和都市推進協議会が毎年この時期に開いている。今年は初出展の9点を含む98点をそろえた。
紙芝居は、銃後で家庭を支える女性や少年飛行兵を描いた作品が見られる。上演する際は戦意高揚の狙いをゆがめることがないよう、アドリブや脚色を加えることが一切禁じられていたといい、当時の演じ方をまとめた教本も展示している。
子ども向けの雑誌は、物資不足に伴い紙質が悪化し、表紙に描かれた人物が険しい表情になっていく様子が分かる。戦後になって軍国的な表現を黒く塗りつぶした国定教科書や、兵隊をテーマにしたすごろく、軍事費を捻出するため郵便局で売り出した公債のポスターなどもある。
学芸員は「身近な暮らしを通して戦争や平和のことを考えてほしい」と話す。会場では市民6人が広島での被爆やシベリア抑留などの戦争体験を語った映像を上映している。
9月3日まで。無料。月曜と祝日は休館。