千里浜にホテル、訪日客照準 羽咋・道の駅近接

マリオット・インターナショナルのホテルが進出予定の「道の駅のと千里浜」周辺の建設予定地(点線内)=羽咋市千里浜町(ドローンから)

  ●能登観光の拠点に、25年開業

  ●米大手マリオット、県内で初

 羽咋市千里浜海岸周辺の「道の駅のと千里浜」近接地に2025年、米ホテルチェーン大手マリオット・インターナショナルが80室規模のホテルを開業することが11日、分かった。インバウンド(訪日客)を取り込む日本戦略の一環とみられる。誘致を進めてきた羽咋市は通過観光地から能登観光の拠点への転換を図り、地域経済の起爆剤とする。マリオットは石川県内に初進出となる。

 11日の市議会全員協議会で市側が、積水ハウス(大阪)の子会社「合同会社ニューツーリズム・トリップベース3号」(東京)を宿泊施設営業の優先交渉権者に選んだと明らかにした。

 羽咋市などによると、建設予定地は、のと里山海道千里浜インターチェンジ(IC)につながる県道沿いの市有地約4400平方メートルで、能登や金沢にアクセスしやすい「羽咋の一等地」(市幹部)。輝く夕日が見られる千里浜なぎさドライブウェイからも近い。

 マリオットと積水ハウスは2020年から、旅行先の通過点だった道の駅を観光拠点に位置付ける「トリップベース道の駅プロジェクト」を展開し、全国の道の駅周辺に相次いでホテルを開業している。25年までに26道府県で計約3千室を設ける計画で、羽咋では鉄筋コンクリート3階建てとなる見通しである。

 「道の駅」近くのホテルは、いずれもレストランのない「宿泊特化型」で、食事や土産は地域の飲食店、道の駅の利用を促すのが特徴となっている。北海道や京都府、岐阜県などで開業したホテルは3~7階、50~100室の規模で、平日で1泊1万5千円前後。訪日客に対し、マリオットの認知度を生かすほか、自由な旅行を楽しむ国内客にも対応する。

 北陸新幹線敦賀延伸を控え、福井駅前には来春、252室を備えるマリオットのホテルが開業する。射水市にも進出計画があり、北陸三県にマリオットがそろうことになる。

 マリオットは高級ホテルのイメージがあるが、人口1万人前後の栃木県茂木町や三重県御浜町などで開業している。人口2万人を割り込んだ羽咋市は若者世帯や移住者の受け皿となる住宅地の造成とともに、宿泊施設の誘致を進めてきた。

 羽咋市内には宿泊施設が少なく、バイク約1万2千台が集まる「SSTR」では七尾市の和倉温泉や金沢に宿泊するライダーが多い。今夏は千里浜海水浴場が開設されない中、来月には海や波のある水域でこぐボート競技の新種目「コースタルローイング」の全国大会が行われる。

 羽咋市はホテルの近接地に商業施設の誘致も進める。市観光協会の関係者は「外資系ホテルが進出すれば千里浜の知名度が上がり、羽咋の宿泊施設や観光施設に相乗効果が出てくる」と期待を寄せた。

 ★マリオット・インターナショナル ヒルトンやハイアットと並ぶ世界的なホテルチェーン店で、約120の国・地域に6千軒以上のホテルやリゾートを展開している。世界で1億5千万人を超える会員がいる。国内でもホテル開業を加速させ、道の駅プロジェクトでは「フェアフィールド・バイ・マリオット」のブランド名でホテルを展開している。

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