日本酒なのにビールよりアルコール度数低い3%台を実現 福井県の研究所と蔵元が夏限定で販売

乳酸菌を活用しアルコール度数を3%台に抑えた伊藤酒造「ピンクホーク」(左)と三宅酒造「うらうら」=7月4日、福井県福井市のアオッサ

 福井県食品加工研究所が確立した乳酸菌活用による低アルコール度数の清酒製造技術を活用し、県内二つの酒蔵がアルコール度数を3%台に抑えた日本酒を商品化した。7月4日に福井市のアオッサで商品発表会があり、蔵元の代表らは「酸味と米の甘みを生かした味わいに仕上げた。これまでにない新しい日本酒ができた」としている。

 一般的な日本酒のアルコール度数は15%前後。同研究所は日本酒の消費拡大に向け、2018年に女性や若者にも飲みやすい低アルコール度数の酒の開発に着手した。酒米の発酵を途中で止めたり、水を追加したりすることで低アルコールの酒を製造できるが、味や香りが損なわれるなどの課題があるという。

 そこで同研究所は、発酵を抑える新たな方法として乳酸菌に着目。発酵時に酵母以外の雑菌の繁殖を防ぐ乳酸菌の量を増やすことで、酵母のアルコール発酵を調整。乳酸菌自体の発酵により、味わいや香りのよい製造手法を確立し、一般的なビールよりも度数が低い“超低アルコール”の日本酒を実現させた。

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 商品製造は、伊藤酒造(福井市江上町、伊藤康晴代表)と三宅彦右衛門酒造(美浜町早瀬、三宅範彦社長)が担当した。伊藤酒造の「ピンクホーク」はさっぱりとした軽い飲み口が特長で、「お酒が初めてという人でも飲みやすい」と伊藤代表。三宅彦右衛門酒造の「うらうら」はすっきりとした後味で、三宅社長は「サバのへしこやなれずしなど、嶺南地域の料理と一緒に味わってほしい」と話した。

 「ピンクホーク」は500ミリリットル1320円で10日から、「うらうら」は300ミリリットル1540円で7月下旬から、夏季限定で県内の酒販店などで販売する。

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