「キャスティングには邪悪な⼒がある」クローネンバーグ監督がヴィゴ・モーテンセンとの濃密な関係を明かす! カンヌ騒然の問題作『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』

『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』© 2022 SPF (CRIMES) PRODUCTIONS INC. AND ARGONAUTS CRIMES PRODUCTIONS S.A. © Serendipity Point Films 2021

デヴィッド・クローネンバーグ監督最新作『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』が 2023年8⽉18⽇(⾦)より全国公開。このたびクローネンバーグ監督が、主演のヴィゴ・モーテンセンとの「テレパシーを感じる」という厚い信頼関係について語るコメントが到着した。

カンヌで途中退出者続出の問題作

『クラッシュ』『イグジステンズ』『ヒストリー・オブ・バイオレンス』など数々の受賞歴と共に物議を醸してきた映画作家デヴィッド・クローネンバーグ。最新作『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』は、第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部⾨に出品され、退出者が続出した賛否両論の問題作だ。

そんな本作で主演を務めるのは『ロード・オブ・ザ・リング』『グリーンブック』のヴィゴ・モーテンセン。⾃⾝のカラダから臓器を⽣み出すアーティスト、ソールを唯一無二の存在感で演じている。また、ソールのパートナーであるカプリースに『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のレア・セドゥ、⼆⼈を監視する政府機関のティムリンに『スペンサー ダイアナの決意』のクリステン・スチュワートと豪華キャストが集結した。

「ヴィゴとはテレパシーを感じる時がある」

主演のヴィゴ・モーテンセンは、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』『イースタン・プロミス』『危険なメソッド』に続いて、クローネンバーグ監督とは4度⽬のタッグとなる。そんなヴィゴに対し、クローネンバーグ監督は厚い信頼を寄せているようだ。

完璧主義者でもある私たちですが、監督と俳優という関係にあっても、テレパシーを感じる時があります。これは共同作業を重ねた成果だと思っていますが、撮影中はかなり役に⽴っています。監督、脚本家、ミュージシャン、詩⼈、出版社としての仕事もこなすヴィゴはもはや俳優以上の存在で、例え⾃分が関係ないシーンだとしても脚本に意⾒してくれます。 彼と⼀緒に映画を作ると、まるで戦友のような関係になります。

本作で<新たな臓器を⽣み出す”加速進化症候群”のアーティスト>という独特の役柄を⾒事に演じ切ったヴィゴだが、彼を含め多くの俳優と幾度もの共同作業を経験してきた監督は、キャスティングの難しさについてこう明かしている。

ヴィゴが友⼈であることや才能あふれる役者だという事実があっても、どんな役でもオファーできるわけではありません。それは彼にとっても同じで、私から受け取った脚本を読んで、出演を断ることもできるのです。実は『危険なメソッド』でフロイト役を引き受けてもらうのにも時間がかかりました。いかに彼がフロイトの⼈⽣を演じるのに相応しいかを説得した結果、素晴らしい演技を⾒せてくれました。

キャスティングには邪悪な⼒があるというか、映画が完成して成功を収めると、その役を他の誰かが演じることはほとんど不可能なんです。『戦慄の絆』のジェレミー・アイアンズだって、唯⼀無⼆のキャスティングだと思う⽅も多いですが、映画を撮る前は誰もその選択が正しいかどうかは分かりません。ヴィゴの抜擢も同じことが⾔えます。キャスティングは、常に特別で、刺激的で、時には気が狂いそうになるプロセスなのです。

『クライムズ・オブ・ザ・フューチャ ー』は2023年8月18日(金)より新宿バルト9ほか全国公開

クローネンバーグ監督作『裸のランチ 4Kレストア版』上映中

名作12本を12ヶ⽉連続、⽉替わりで上映する特集上映プロジェクト「12ヵ⽉のシネマリレー」を締め括る、第12弾『裸のランチ 4Kレストア版』が2023年7⽉7⽇(⾦)より上映中。第57回NY映画批評家協会賞最優秀脚本賞・最優秀助演⼥優賞、第26回全⽶批評家協会賞最優秀監督賞・最優秀脚本賞を受賞した本作は、映像化不可能と⾔われた W・S・バロウズの代表作を⻤才クローネンバーグ監督が映画化しカルト的⼈気を誇る問題作。バロウズ⾃⾝の半⽣を盛り込み、⼤胆な脚⾊と鮮烈な想像⼒で描く。

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