ミネラルウォーター大国のフランスで水資源危機…今こそ考えるべき日本の地下水源

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。7月7日(金)放送の「New global」のコーナーでは、日本の“水資源”について考えました。

◆フランスで水資源が枯渇…日本は大丈夫?

ミネラルウォーターで世界的に知られるフランス中部ボルヴィック地方で、水資源の枯渇が懸念されているとAFP通信が報じました。かつては豊富な水資源を誇っていたボルヴィックですが、今年5月、水源から採れる水量が急激に減少。屋外での水道利用が制限された他、プールの貯水も禁止されました。

ミネラルウォーター世界最大の輸出国フランスは、「ボルヴィック」、「エビアン」といった世界的なブランドの拠点にもなっているためミネラルウォーター業界の将来を不安視する声が上がっています。

気候変動や人口増加、そして需要爆発。さらには過剰な開発など、さまざまな要因のもと水資源の枯渇が危ぶまれているなか、日本では2014年に「水循環基本法」が施行されています。

この法律の題目は「水を国民の財産とし水資源の保全と循環を目指す」。キャスターの堀潤は「これまで工場を誘致し、半導体の工場などは水をたくさん使うので地下水を汲み上げられるだけ汲み上げていたが、水資源は上流域・下流域と繋がり、全体で見ていかないといけない。なので、水を循環させることに関してみんなで意識を高めようというもの」と解説。

さらに、2022年には水制度に関する議員連盟が立ち上がり、水循環基本法の改正が行われました。そこでは企業責任の明確化と規定作りが新たに定められています。

そうしたなか、大きなジレンマもあります。それはリニア開発にあたってのアルプス水源保全の問題。現在、静岡県の大井川にトンネルを建設していますが、これが約60万人分の生活用水に影響する恐れがあることから、JR東海や県も含め、対応を議論している状況です。

エッセイストの小島慶子さんは、子どもの頃にミネラルウォーターが登場し、当初「水を買うの?」と驚いたそうですが、水を買うのが当たり前になった今でもマイボトルを持ち歩き、家でも水道水をフィルターで濾過して使うなどして、ミネラルウォーターを買わないようにしているといいます。そうしたこともあってか「水で利益を上げてきた企業であればあるほど、水資源を大切にするメッセージを出しながら、(水以外の)違う形のビジネスに移行してもいいんじゃないか」と望みます。

水資源に対して先進的な取り組みを行っている企業もあります。例えば、ソニーは官民連携で水保全プロジェクトを始動。これは工場で使った水を一度地下に戻し、きれいにしてまた活用するもので、その水を使った田畑で採れた作物は工場の食堂などでさらに利用していくという動きが。また、日本の地下水の解析データの提供も始まっており、それをさまざまなものに活用していこうという取り組みも行われています。

こうして動いている企業があるものの、株式会社ゲムトレ代表の小幡和輝さんは「環境に配慮することに対して、メリットが得られる仕組みを作ってほしい」と熱望。というのも、現状ではたとえ環境を破壊しようと利益には直結せず「当然、環境を破壊してでも安く作り、高く売ったほうがいいとなるが、環境を守ることで経済的にも利益がある仕組みがあるべき」と主張します。

「The HEADLINE」編集長の石田健さんは、水資源の問題に対して2つの懸念点を挙げます。1つは気候変動に関してはCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)などの報告書を見ても、水不足が非常に大きな政治的・社会的リスクになるということ。もうひとつはESG(環境・社会・ガバナンス)を掲げるなか、脱炭素ばかり注目されますが、サプライチェーンにおける人権侵害や生物多様性、そして水資源、森林資源の充実も大きな問題であり「そうしたところも大事だということを企業側に訴えていかなければいけない」と危機感を募らせていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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