日下氏の資料など「産業遺産」に 日本人初の「機関士」 国内唯一の鋪道煉瓦橋梁「翁橋」も/岡山・津山市

岡山県津山市の「産業遺産学会」(横山悦生会長)による本年度「推薦産業遺産」認定書などの伝達式が10日、同市役所であり、「翁橋(同市宮脇町、西今町)」と「初の邦人機関方(がた)・日下輝道の資料」が認定されたほか、保存功労者2人が表彰された。

認定理由は、翁橋(1926年建造、市所有)は35年に生産を終えた鋪道煉瓦(れんが)の橋面全体での現存が国内で唯一確認された橋梁(りょう)。日下輝道の資料(個人所有)は、市出身で初の日本人機関士となった履歴と実績を証言する貴重な内容―としている。功労者は日下氏の資料を保管し、顕彰を続けた長男の故・日下宗一郎氏と、市内産業遺産の保存活用に積極的に取り組んだ谷口圭三市長。

小西伸彦同学会理事長が認定理由などを説明。横山会長が日下輝道の資料の認定書をひ孫の秋山裕義さん(兵庫県西宮市)、保存功労の表彰状を孫で宗一郎の次女の秋山貴美子さん(奈良県生駒市)に手渡した。

貴美子さんは「祖父は非常に苦労して機関士になったと聞いており、父とともに喜んでいると思う」と話した。

翁橋の認定書と功労の表彰状を受け取った谷口市長は「これからも産業遺産を大切にし、しっかりと保存活用していきたい」と述べた。

津山市の推薦産業遺産は翁橋を含めて6件(全国128件)、保存功労者(団体)は5件(全国117件)となった。

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