佐賀県内大雨、住民総出で土砂撤去 佐賀や唐津、ボランティア受け入れへ

大雨から一夜明け、裏山から流れ込んだ土砂を除去する人たち=佐賀市富士町上無津呂

 大雨から一夜明けた11日、佐賀県内の被災地では復旧作業が進められた。土砂災害が起きた佐賀市富士町では土砂の撤去作業などに追われた。佐賀、唐津両市の社会福祉協議会(社協)はボランティア活動を円滑に進める「災害ボランティアセンター」を12日に開設する予定で、県社協も「一人も取り残さない」として後方支援に注力する。

 土砂崩れや河川の氾濫に見舞われた富士町上無津呂の相尾地区では、住民総出で復旧に当たった。裏山の土砂が流れ込んだ嘉村法子さん(61)の自宅では、住民が重機も使って夕方までに土砂を半分ほど運び出した。嘉村さんは「まさか自分が被災するとは思わなかった。手伝ってくれてありがたい」と話した。

 富士町栗並に住む田中利彦さん(76)は、土砂が押し寄せた麻那古のおばの家に駆け付けた。玄関先は泥土が積み上がり、庭の物干し竿も泥に埋まった。「人の力じゃどうしようもなか」。12日から重機での撤去作業に取りかかる。

 現地視察に訪れた坂井英隆市長は住民から被災状況を聞き取り、陥没した道路などを見て回った。「道路の崩落など多くの報告があり、手分けして対応している。今日聞いた話や地域からの情報を踏まえ、災害復旧、生活再建の支援にもつなげたい」と述べた。

 佐賀市社協は大和老人福祉センター(大和町久池井)に、唐津市社協はひれふりランド(浜玉町)に災害ボランティアセンターを構える。被災者のニーズをくみ取りながら、佐賀市では週内に、唐津市も14日から活動を始める。

 10日夕に被災者支援本部を立ち上げた県社協は、市町社協の活動をサポートする。ボランティアの募集は県社協の事前登録システムで実施し、12日からウェブサイトで手続きできる。登録者に各地域でボランティアが必要な日と人数を知らせ、マッチングを促す。

 県社協の担当者は「今回は各地が同時に被災し、県外から応援を呼ぶのも県外に応援を出すのも難しい。市町社協と一緒に、住民の思いに寄り添って支援していきたい」と話す。(円田浩二、川﨑久美子、中島幸毅、上田遊知)

 ○…佐賀市社会福祉協議会は大和老人福祉センター(大和町久池井)に災害ボランティアセンターを開設した。ボランティアを依頼したい人(一般の住居)は、専用電話、080(3963)3685に、午前9時から午後5時までに(土日祝日含む)連絡する。ボランティア活動に参加したい人は事前登録制。問い合わせは、電話080(1763)2410(午前9時から午後5時まで、土日祝日を含む)。

 ○…唐津市社会福祉協議会が開設した災害ボランティアセンターは住民から支援内容のニーズを受け付けるとともに、ボランティアの参加についても受け付けを始める。情報はウェブサイトで更新する。問い合わせは唐津市社会福祉協議会、電話0955(75)2290。

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