命守る教訓、各地で活用 京アニ事件で京都市消防局が指針

「ぶら下がり避難」を紹介する名古屋市港消防署のチラシ(左)と大阪市消防局のチラシ(右)

 36人が死亡、32人が重軽傷を負った2019年の京都アニメーション放火殺人事件を受け、京都市消防局が作成した「火災から命を守る避難の指針」が各地で活用されている。「2階からのぶら下がり避難」といった、負傷リスクがあり紹介しづらかった「最終手段」の周知も。実例を踏まえているため伝えやすいといい、教訓が広がっている。

 「トイレに逃げ込み一時避難スペースを確保、煙の本格的な流入を防いだ」。京都市消防局は20年3月、生存者から避難行動を聞き取り約40ページ分の指針を作成した。

 2階の手すりや窓枠にぶら下がり、足を伸ばした状態で手を離す「ぶら下がり避難」や、煙を吸わないようにしゃがんだまま歩く「アヒル歩き」、窓から上半身を「くの字」に出して呼吸する方法などを紹介。一連の行動を実演した動画も作り、サイトに公開した。

 名古屋市港消防署は昨年春から、京都指針の要点をまとめたチラシを作成、ビルなどへの定期検査で配布を始めた。

 京都市消防局の足立貴志予防課長は「活用が広がっているのはありがたい」と話す。

© 一般社団法人共同通信社