石川に線状降水帯 初の「顕著な大雨情報」

冠水した道路を進む自動車=12日午後11時半、津幡町清水

  ●津幡、かほくの河川氾濫

  ●かほく1時間85.5ミリ

  ●金沢・八田町東で冠水

 12日の石川県内は発達した雨雲がかかり、各地で大雨となった。金沢地方気象台は午後9時半過ぎ、同じエリアに集中豪雨をもたらす「線状降水帯」が発生し、県内で初めてとみられる「顕著な大雨に関する気象情報」を発表した。津幡町では同9時から1時間で80ミリの猛烈な雨が降り、かほく市では同10時45分までの1時間で観測史上最大の85.5ミリを記録した。津幡町は笠谷、英田、萩坂地区の約2285世帯6017人に避難指示を出し、町内4カ所に避難所を開設した。津幡町の4河川、かほく市の2河川で氾濫が発生した可能性がある。

 津幡町によると、大雨の影響で、町内8カ所で土砂崩れが発生し、清水の住宅、舟橋の納屋で床下浸水があった。同町は萩野台コミュニティプラザ、町福祉センター、条南コミュニティプラザなどに避難所を設けた。かほく市でも土砂崩れが発生したとの情報があり、午後11時45分、大海小、金津小、宇ノ気小、宇ノ気中に避難所を開設した。内灘町では西荒屋で県道の一部が陥没した。

 金沢市八田町東では広い範囲で道路が冠水し、複数の建物が浸水。同市中尾町の国道359号沿いでは崖崩れが起きた。津幡町、金沢市、かほく市の計約670戸で停電が発生した。

 県によると、氾濫が起きた恐れがあるのは津幡町の津幡川、大海川、能瀬川、材木川、かほく市の宇ノ気川、大谷川。

 県と気象台は津幡、かほく、内灘、宝達志水に避難指示(警戒レベル4)相当の土砂災害警戒情報を発表。

午後には加賀地方に竜巻注意情報を2回発表した。

 大雨の影響で、北陸新幹線は12日午後9時50分ごろ、金沢―富山で運転を見合わせた。JR七尾線も同9時5分ごろから、金沢―高松駅間で運転を休止。JR西日本によると、13日も北陸線金沢―近江塩津で始発から運転を見合わせたり、列車に遅れが出たりする恐れがある。IRいしかわ鉄道も普通列車6本を運休した。13日も運休のおそれがある。

 国道8号の石川、富山県境区間や北陸自動車道砺波インターチェンジ(IC)―富山西IC間が通行止めとなった。

 13日にかけて大気の非常に不安定な状態が続き、1時間に50ミリの雨が降る所がある見込みで、気象台は土砂災害や落雷、竜巻などの激しい突風に注意、警戒を呼び掛けている。

 13日午後9時までに予想される24時間降水量は多い所で加賀200ミリ、能登100ミリ。その後の24時間は加賀、能登とも100~150ミリとなっている。

線状降水帯の発生を予測する雨雲レーダー画面(気象庁のHPから)

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