竹田版オペラ「蝶々夫人」12月上演へ 20年度開始のプロジェクト集大成【大分県】

竹田バージョンのオペラ「蝶々夫人」について語る嘉目真木子さん(右)と泊篤志さん=竹田市総合文化ホール
「マダム・バタフライ塾」でオペラについて理解を深める市民ら

 【竹田】ヒロインのモデルが竹田ゆかりの人物との説もあるオペラ「蝶々(ちょうちょう)夫人」にちなみ、竹田市文化振興財団が2020年度から取り組んできた「マダム・バタフライ」プロジェクトが本年度、集大成を迎える。12月に独自の演出を加えたオペラを市内で上演する予定で、作品やオペラへの理解を深める塾を開くなどして機運を高めている。

 「蝶々夫人」は長崎市を舞台に、芸者蝶々さんと米海軍士官の恋愛、悲劇を切なく描いた作品。

 ヒロインのモデルは諸説ある。同プロジェクトでは英国人貿易商人のトーマス・グラバーの妻で岡藩士の元妻だった「ツル」と、仏海軍士官の妻とされ、後に竹田市内の洞窟に1人で暮らしたという「オカネ」の説に着目。竹田バージョンのオペラ上演を目指し、各種企画を展開してきた。

 市民対象の「マダム・バタフライ塾」では、2人の人物像に迫るため当時の状況を調べたり、長崎の関係先を訪ねたりしている。

 最終年の今年は「オペラ」がテーマで、6月中旬にあった塾では公演に携わるソプラノ歌手嘉目(よしめ)真木子さんと演出家泊篤志さんが登壇。オペラは歌で物語を展開し、演出によって作品の内容が大きく変わることなどを説明した上で、竹田バージョンについて「女性の内面的な強さの表し方が通常版と決定的に違うのでは」と述べた。

 今後、舞台で合唱する市民の養成や、秋には出演歌手による出張公演も予定。同財団が運営し、オペラの会場となる市総合文化ホール企画制作班の伊達奈都紀さん(45)は「竹田に眠る資源に光を当てる公演となる。市民が地元への愛着を強め、市外の人に竹田に親しみを感じてもらう機会にしたい」と話した。

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