パワハラで隊員自殺未遂 3等海曹を懲戒免職 海自佐世保

 海上自衛隊佐世保地方総監部は12日、佐世保を母港とする護衛艦「じんつう」で、上司からパワーハラスメントを受けた部下の隊員が昨年1月、艦内で自殺未遂をしていたと明らかにした。総監部は、パワハラをした同艦所属の20代男性3等海曹を同日付で懲戒免職とした。
 総監部によると、3等海曹は2021年11月~22年1月、指導中に部下2人に対して複数回、頰を平手打ちしたり、体をつねったりした。このうちの1人と別の1人の部下には、業務上の軽微なミスを理由に、艦内の自動販売機でジュースの購入を複数回強要した。3等海曹は「同じ失敗を繰り返さないための指導だった」と話している。
 隊員の自殺未遂を機に発覚。被害者全員、メンタルヘルス(心の健康)のケアを受けているという。
 艦長の萩尾隆二2等海佐は「重く受け止めている。服務指導をさらに徹底し、再発防止に努める」とコメントした。
 海自の艦艇では、これまでもパワハラなどが引き金になった自殺が起こっている。21年2月には、佐世保を母港とする護衛艦「あけぼの」の艦内で、乗組員の男性海士長=当時(20)=が自殺。両親は上司のパワハラや長時間労働が原因として、国に損害賠償を求める訴訟を起こし、係争中。

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