いじめ被害訴えの女子中学生が長期欠席、調査せず1年放置 滋賀の私立中

滋賀県東近江市

 滋賀学園中学校(滋賀県東近江市)で女子生徒1人がいじめ被害を訴えて長期欠席しているにもかかわらず、同中がいじめ防止対策推進法で義務付けられている調査を実施せずに約1年間放置していたことが12日、分かった。同法は、いじめが原因で生徒が長期間学校を欠席した場合を「重大事態」と定義し、文部科学省はガイドラインで第三者による速やかな調査を求めている。同省は同中の対応を「不適切だ」としている。

 同中などによると、生徒は2021年春の入学後、同級生に名前や容姿をからかわれたり、友人との会話を邪魔されたりしたと訴え、同年12月から登校できなくなった。同中は管理職や担任らが同級生への聞き取りなどを行い、いじめはなかったと判断したが、生徒の欠席はその後も続き、昨年2月に欠席日数が「重大事態」の目安となる年間30日を超えた。

 文科省のガイドラインは「重大事態」への対応として、学校が「いじめの結果ではない」と判断していても、学校には第三者による速やかな調査を行うよう求めている。だが、同中は、保護者の相談を受けたNPO法人から昨年9月に第三者委員会の設置と調査を要請されても応じなかった。同年11月ごろに保護者から文書による申し入れを受け、ようやく今年2月に第三者委の設置を決めた。

 同中の近藤芳治校長は「学内調査をしていたこともあり、重大事態に伴う(第三者の)調査が必要だという認識がなかった。対応が甘かった」と認め、「生徒が復帰できるようにオンライン学習といった学びの保障は可能な限り対応してきた」としている。

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