企業の事業継続計画 長崎県内は策定意向36% コロナ禍緩和で優先度低下か

長崎県内の企業の事業継続計画(BCP)策定状況

 自然災害などの緊急時に備える企業の事業継続計画(BCP)について、帝国データバンク長崎支店が実施した意識調査によると、回答した長崎県内の企業112社のうち、策定済みまたは意向があるのは36.6%(41社)だった。新型コロナウイルスの影響緩和で企業の関心低下がうかがえ、回答した全国1万1420社の48.6%を大きく下回った。
 BCPについて中小企業庁は「緊急事態に遭遇したときの廃業リスクは、経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)な中小企業ほど大きい」として早期の策定を勧めている。
 「策定している」が9.8%(11社)、「現在策定中」が6.3%(7社)、「策定を検討している」が20.5%(23社)。新型コロナ感染拡大が本格化した2020年には、回答企業の半数近くが策定済みまたは意向があるとしていたが、その後は30%台にとどまっている。同支店は「感染症リスクが表面化したことで一時的に企業の意識が高まったが、ポストコロナの経済活動が加速する中で、相対的に優先順位が低下してきたようだ」と分析している。
 策定済みまたは意向がある企業に、どのようなリスクを想定しているか複数回答で聞くと、地震や風水害などの「自然災害」が70.7%で最も多かった。「感染症」は43.9%で昨年の64.4%から大幅に低下した。
 一方で、BCPを「策定していない」と答えた企業に複数回答で理由を聞くと、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」が36.7%で最多。「小企業でも取り組めるガイドラインがあれば」(歯科診療所)、「コロナ期間中の設備投資の返済計画を優先している」(酒類製造業)などの意見が上がった。
 同支店は「(緊急時を想定した)準備を怠ることで経済活動に与えるマイナス影響は大きい。企業、行政で連携した対策が必要」としている。

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