セプテンバーミー×Bentham×山岡トモタケ&FLAMINGS - 新宿ロフトと縁深いバンド3組がこれから前向きに進んでいく思いを音にぶつけ合う夜

前向きで現在進行形の音が鳴る夜に

樋口:10年近く前から新宿ロフトで定期開催をしてきた『三つ巴ライブ』がコロナ禍で止まってしまってなかなかできなかったんですけど、(コロナ禍の行動制限も)緩和されてきて久しぶりにそろそろ開催できるかな…と思っていたときに、今回出演していただく三者それぞれと連絡を取り合うようになりました。セプテンバーミーは期間限定で復活する、山さんはツアーを組む上にバンド編成でもライブをやろうと思っている、Benthamは所属事務所から独立されてこれからガツガツ自分たちでやっていきます、っていう。

ドイヒロト(セプテンバーミー/以下、バーミー):そのときのことを僕から話すと、昨年末にもともとお世話になっていたタワーレコードの方や友達のバンドマン等から、バーミーは活動休止してるのに「(イベント等に)出てもらえませんか?」っていう連絡が立て続けにあったんです。止まっているバンドに声をかけてくださること、さらに同時期に僕が新宿のSAMURAI(ライブハウス)でブッキングを始めまして、自分が声をかけたバンドマンから「ドイさんが持ってるテレキャスター(=ギター)に憧れて持ってます」って言われたり、そういうことを立て続けに聞くうちに自分もその気になってしまいまして(笑)。家業を継ぐのもあって活動自体は富山の実家に帰ってやってるんですけど、富山の音楽シーンを盛り上げたいという思いもありますし、地元でラジオ番組も担当させてもらっている中で「セプテンバーミーをまたやってほしい」っていう声もいただいたりして。5年間も活動休止してるのにどうして…って思いながらも、やっぱり嬉しくて。それでバーミーのことを考えたときに今年がちょうど結成10周年の年だったので、どれだけの方が待っているか分からないですけど、もしファンの方が喜んでくれるなら…という思いで、今年の4月4日から復活しました。

▲セプテンバーミー

樋口:復活は期間限定なのだよね?

ドイ:はい、現状1人で活動をしているというのが大きな要因ですけど、どうしても(富山在住という)距離的な問題もあるし、この先もずっと続けていくのは…というのもあって。バーミーはこの10周年で燃え尽きることができるんじゃないかなって、“セプテンバー”・9月30日までと決めました。復活してライブをやる中で、実は回を重ねるうちに“復活した”という衝動より、もっと音楽的・ミュージシャンとしての満足度というものを考えるようになって。過去の曲を演奏している・過去に共演したバンドと対バンをさせてもらっている…それは過去をなぞってるんだな、という気持ちになっていて。音楽でドキドキやワクワク、刺激を求めているのにバーミーを通して過去をなぞっている自分がいる。だからこの先…新しいものをやってみたいなという気持ちに実は今、なっているんです。

樋口:なるほどね、でも音楽に前向きな気持ちが(復活することで)すごく出てきたんだね。そして山さんは、ソロになってから私は一緒にいろいろとやってきていて。

山岡トモタケ(=山さん):僕はWHITE ASHでギタリストをやっていて、解散してからソロで弾き語りを始めたんですけど、(最初は)歌うことにも自分の曲にも自信がないからずーっとライブをし続けてきたんです。それで樋口さんともいろいろとイベントを組んだり出演させてもらううちに、少しずつ歌や曲に自信が持てるようになってきて。そしたら今度はバンドという形態にもチャレンジしたいなって思うようになって、そのタイミングが今回の48公演ツアー(6月23日〜)で、そのうち11本をバンドで回る予定にしまして。それを決めたときに、WHITE ASHでもお世話になっていた新宿ロフトをバンド公演の初日にしたいなという思いを話して、自分のバンドとしてのツアー初日を『三つ巴ライブ』でやらせていただくという流れです。

樋口:WHITE ASHから数えると山さんとも長いけど、Benthamとも長年だね。

オゼキタツヤ(Bentham):そうですね、新宿ロフトでは樋口さんとの繋がりが一番強くて。長年レーベルと事務所に所属する中でバンドとしては昨年、事務所を抜けまして。メンバーだけでやると決めたときに、樋口さんとの関係値っていうのが自分たちにはすごく大事だったので、まず最初に連絡をしたんですよね。

樋口:それぞれ環境の変化があって、変化はそれぞれ違えど三者とも新しいスタートのタイミングなんだなと私は受け取っていて。且つ三者ともわりと世代が近いのかなという印象もあったし、この三者が放つ雰囲気や空気感というボールを新宿ロフトを通して投げてみたいなっていうブッキングなんです。きっと、元気をもらえる人や待ってた! っていう人がいると思うし、自分が新宿ロフトで長年、受け皿としてやってきたからこそできることかなとしっくり来てるし。オープニングアクトで若手バンドの青はるまきを入れたのも、まさにドイ君が言ったように私も過去をなぞるつもりが全くなくて、三者よりちょっと下の世代も一緒にライブをすることでちゃんと前を向いているイベントになるし、ドイくんも山さんもBenthamも前向きな気持ちで、現在進行形でやってるっていうのを見せる、自分的にはそんなブッキングでした。

──すごく意図と意味が見えるブッキングなのが伝わりました。出演される三者はそもそもの接点だったり、抱いているイメージとかは?

ドイ:僕から見ると山さんは樋口さんのイベントでご一緒させていただいたり、Benthamとバーミーは思いっきり同じ時期に活動をしていて、全国各地で対バンも多かったので(オゼキうなずく)。

オゼキ:山さんとは僕、初めましてですよね?

山岡:ディズニーのコンピレーションCD(『ロック・イン・ディズニー〜プリンセス・ソングス』/2017年)にBenthamとWHITE ASHが入ったことがあって。だからお互いに音源は聴いてるんですけど、イベントとかではお会いしたことはなくて、お会いするのは初めましてです。

オゼキ:山さんとして今は歌ってるんですもんね、すごく楽しみです。

山岡:僕的には2バンドともカッコ良いバンドで、今になって歌い始めた自分がこの2組と対バンできるっていうのは何よりも嬉しいので、『三つ巴ライブ』当日までにあらゆる準備をして最高のライブをしたいなと思っております!

オゼキ:今いる3人の、その当時だったり、もともとっていうのはわりとクセがあると言うか、ど真ん中なところじゃない印象があるので、“今”の状態…今のバーミーというのが楽しみだし、今の山さんが楽しみだし。何だろうな…すごく、普通じゃない日になるだろうなと(一同笑)。その日の空気感とか、すごく楽しみにしてますね。良い意味で馴れ合いじゃない感じも出ると思うし、音楽的に…ちょっとヒリつくのかなと僕は思ってますね。

ドイ:Benthamとバーミーは(当時)一緒のジャンルのくくりで見られてたと思うんです、それでどこかライバル視…それはどのバンドに対してもそうですけど、“勝ちたい”と言うよりかは“負けられない”っていう思いで当時はずっとやってた。けど、僕らが活動休止している間も、山さんもオゼキくんも現役で活動を続けてる。第一に、長く続けていくということがすごく大変なことだと分かっているので、そこに本当にリスペクトの念を持ってやるのと同時に、僕も5年ぶりの復活なので、ただ楽しいだけじゃない…あのとき以上に本気で音楽と向き合って、それをステージで出したいと思ってます。

オゼキ:うんうん、素晴らしいですね。

山岡:“クセが強い”っていう言葉を自問自答しながら会話を聞いてましたけど(笑)、もともと、歌詞すらも書いてなかった自分が曲を作って歌ってるっていうこと自体は、ジャンルを抜きにして一番ロックなことが今、できてるなという感じはしていて。でも、2バンドの音を喰らうと思うので、悔しい思いをして次に繋げるという気持ちと、今の自分を全力で出して、僕も喰らわせられるように頑張ろうと思ってます。

樋口:これは出演順決めるのも難しいな…(笑)。どうなるか、皆もお楽しみにということで!

それぞれが新宿ロフトに抱いてしまう“ホーム感”

──当日がとっても楽しみになってきますね。そんな皆さんそれぞれ新宿ロフトには思い出も多くあるはずですが、一つ挙げるとすれば何でしょう?

オゼキ:僕はバンド始める前にいろんなバンドのライブに行きまくってたんですよ。その中で新宿ロフトと下北沢シェルターっていうのは自分の中ではとても思い入れがあって、自分がバンドを始めてからはそんなにロフトではやっていないけど、要所要所で大切なときに樋口さんに呼んでいただいて出ていて。これからは自分たちでやっていく、リスタートでやっていくぞ! っていうタイミングで最近、ロフトによく出させていただいてる…僕たち、ホームだって言えるライブハウスが移転したり無くなっちゃったりして、ふわふわしてたんです。今もまだ全然「ロフトがホームです」なんてことも言えないですけど、でもとても大切なライブハウスになってきてるので、見に来てくれる人にも僕が(バンドマンになる前に)見ていたような感情になって欲しいし、ロフトはロフトであるべきだと思うので、それを実現できるようにBenthamとして最近、強く思ってます。

樋口:Benthamはロフトで企画も決まってますからね[10月29日(日)『FASTMUSIC CARNIVAL』]。

オゼキ:ロフトのホールとバーを使った往来型のイベントで、僕らにしかできないことや呼べないバンドと一緒に新宿ロフトに対する信頼と憧れを持って、自分たちの(独立後)一発目のイベントはロフトでやりたいな、って。

▲Bentham

ドイ:“ホーム”っていう話だと僕は、バーミーが年間130本近くライブをやってたときがあって、樋口さんも一緒にツアーに行ったりして。

オゼキ:すごい数だね!

ドイ:今考えるとちょっとおかしい数なんですけど(笑)、47都道府県ツアーファイナルが新宿ロフトのワンマンライブだったり、鹿児島でライブの翌日にロフトの企画があったりとか(笑)、あり得ないスケジュールでやり続けてた中でロフトはホーム…辿り着く家みたいな感じで、いつも樋口さんに「よく頑張ったよ!」って言ってもらえて。メンバーみんなで「ロフトがホームだよね」って言ってきたし、そのツアーファイナルのワンマンのときはこみ上げるものがあって、あの景色は今も忘れられなくて。Benthamのイベントのように僕らも『バーミーフェス』っていうのをロフトで2回やらせてもらったんですけど、それも思い出深くてバーミーの節目節目が全部、僕らはロフトだったんです。だからビシッと「ホームがロフトのバンドです」って言えます!

樋口:そうだね、懐かしい〜!

山岡:僕は、WHITE ASHが新宿ロフトに所属していたのでロフトに住んでいるみたいな感覚もありました、それこそMVもロフトで撮らせていただきましたし。僕らが憧れているTHE BACK HORNやthe band apart、音速ラインといった先輩方のライブをロフトで見たときの衝撃…潔く音楽と向き合って戦っている武士のような姿がすごくカッコ良いなとか、片や音速ラインはとにかくビールを飲みながら楽しむ『ビールナイト』っていうイベントをやったりとか、そんなステージに僕は“山岡トモタケ&FLAMINGS”名義のバンドとして今回、立たせてもらうっていうのはものすごく身が引き締まる感じです。だからこの3バンドとO.Aでしかできない夜にしたい、と強く思っております!

▲山岡トモタケ&FLAMINGS

──ぜひ、この夜限りの何かが見られたら嬉しいですね…!

山岡:僕は何でもやります!

オゼキ:喜んで! 何をやるかはちょっと考えさせてください!

樋口:ステージから皆で乾杯するとかでも、良いかもね!

ドイ:分かりました! 何かやりましょう!

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