ブロンクビストが次戦トロントでインディカーデビュー。ミド・オハイオで大クラッシュ喫したパジェノーの代役に

 7月14~16日にカナダ・トロントで開催されるNTTインディカー・シリーズ第10戦で、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTPクラスに参戦しているトム・ブロンクビストがメイヤー・シャンク・レーシング(MSR)からエントリー。インディカーデビューを果たすことになった。

 第9戦ミド・オハイオのプラクティス2で大クラッシュを喫したシモン・パジェノー(メイヤー・シャンク・レーシング)。ミド・オハイオ戦は欠場となり、コナー・デイリーが代役を務めた。パジェノーはトロント戦もインディカーの医療チームから出走の許可を得られなかったため、その代役としてブロンクビストが抜擢された。

 ブロンクビストは、2022年IMSAのDPiクラスでチャンピオンに輝き、2022年と2023年のデイトナ24時間レースで優勝、7月9日に行われた第6戦カナディアンタイヤ・モータースポーツ・パーク(CTMP)でもポール・トゥ・ウインでシーズン2勝目を飾るなど同チームのスポーツカードライバーとして活躍している。

「何よりもまず欠場するシモンのことを思っており、彼ができるだけ早く回復してハンドルを再び握れるようになることを願っている。そして、チームオーナーのマイク(シャンク)とジム(メイヤー)に感謝している。インディカーが僕に何を与えてくれるのか、本当に楽しみにしているよ」とブロンクビストはコメントした。

 イギリス生まれで今年で30歳となるブロンクビストは、カート界でキャリアを積み、その後ヨーロッパのさまざまなF3シリーズで4シーズンを走って12勝をあげた。また、フォーミュラ・ルノーUKシリーズの最年少チャンピオンとしてルイス・ハミルトンの記録を破り、16歳で王座を獲得している。

 ブロンクビストは、2022年10月にセブリングで行われたテストでMSRのマシンをドライブしており、トロントへの遠征は彼にとってインディカーに乗るのは初めてではない。

「昨年MSRのマシンで1度テストを行っているが、そこからいきなりインディカー・シリーズに飛び込むというのは控えめに言ってもとても難しいことだ。参戦すること自体に興奮しているが、週末を通してスピードを上げていくという課題は理解しているので、過度にプレッシャーを感じてはいない。ただレースに出てすべてを吸収し、自分の持っている実力を出し切るだけだ」とブロンクビスト。

 チームの共同オーナーであるマイク・シャンクは「シモンは、気分は良く検査が済めばマシンに戻る準備ができていると言っているが、ドライバーを守るためにインディカーの医療チームがあるので、我々はそのガイドラインに従うだけだ」と語る。

「彼が持っていた長い連続出走記録を止めてしまったのは残念だったが、誰もが彼の健康を望んでいるのだから、これについてはインディカーの医学的指針に従うしかない」

「トムがこのような急な連絡ですぐに参加できることができて幸運だ。彼は2022年IMSAのDPiクラスチャンピオンで、インディカーマシンの経験もあり、先週末CTMPで開催されたIMSA第6戦でもまた大きな勝利を収めているので、彼の起用は我々にとって難しい決断ではなかったよ」

トム・ブロンクビストがシーズン2勝目を飾った60号車アキュラARX-06
2023年IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第6戦CTMPではポール・トゥ・ウインを飾った

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