富山県内大雨1人死亡 富山205ミリ、観測史上最大 8市町村21万人に避難指示

土砂崩れで倒壊した建物=13日午後1時10分、南砺市砂子谷

  ●床上浸水40件

 富山県内は12日夜に発生した線状降水帯が猛威を振るい、13日朝にかけて各地で記録的な大雨となった。南砺市では住民に避難を呼び掛けていた市議赤池伸彦さん(65)が土砂崩れ現場から遺体で見つかった。富山、高岡など8市町村が計71地区の約9万世帯の約21万3千人に避難指示を出した。各地で河川の増水や道路の冠水が相次ぎ、床上浸水40件、床下浸水211件が確認された。県は被害の大きい一部自治体に15年ぶりの大雨による災害救助法を適用した。

 富山地方気象台によると、24時間降水量は富山市秋ケ島(富山空港)で205.5ミリ、同市中心部で193.5ミリ、砺波市で176.0ミリとそれぞれ観測史上最大を記録。魚津市古鹿熊の県雨量計で13日午後3時までの1時間に104ミリを観測し、気象庁は記録的短時間大雨情報を出した。

 県防災危機管理課によると、13日午後3時時点で、床上、床下浸水は富山、高岡、砺波、小矢部、南砺、立山の6市町で計251件を数えた。避難所は合わせて86施設に開設された。

 国土交通省富山河川国道事務所と富山地方気象台は小矢部川氾濫危険情報を出した。砺波市の和田川ダムが緊急放流を行った。

 小矢部市の宮島地区で土砂崩れや倒木が相次ぎ、5集落41世帯の101人が一時孤立した。砺波市五谷でも県道が土砂でふさがれ、16世帯が孤立した。南砺市利賀村の国道156号のスノーシェッドに土砂が流入し、トラック1台が進入して身動きが取れなくなった。運転手の男性にけがはなかった。

 富山市ではJR高山線速星駅周辺の住宅街が広い範囲で冠水した。市全体では床上浸水18件、床下浸水83件を数えた。小中学校35校、2幼稚園、17保育施設が休みになった。

 射水市では青井谷の市道で道路が陥没したほか、のり面崩落や倒木、土砂崩れの被害が8カ所で見つかった。和田川沿いの二口地区では道路が広い範囲で冠水。下条川の水位上昇で三ケ、戸破、大江の3地区に高齢者等避難を発令した。

 氷見市神代の山林では高さ10メートル、幅9メートルの範囲で土砂崩れが起き用水をふさいだ。魚津市は星の杜小など5カ所に自主避難所を開設した。

  ●4市に災害救助法適用

 富山県は13日、富山、高岡、小矢部、南砺の4市に災害救助法を適用したと発表。国と県が避難所設置や家屋の土砂撤去などの費用を負担する。適用は12日付。災害救助法の適用は2021年1月の大雪以来。大雨による適用は08年7月の南砺市の大雨以来となる。

 JR城端、氷見、高山線は13日、全線で終日列車の運転を取りやめた。北陸線は特急サンダーバード18本、しらさぎ12本が運休。

 あいの風とやま鉄道も倶利伽羅―石動駅間の土砂崩れの影響で13日始発から津幡―高岡駅間で運休した。

 北陸自動車道は12日夜から富山―砺波インターチェンジ(IC)間で通行止めが続いていたが、13日午前8時ごろ解除。国道8号は小矢部市安楽寺―石川県津幡町九折が通行止めとなったが、13日午後3時に解除された。

  ●県が災害対策本部

 富山県は13日、災害対策本部を設置した。富山市の県防災危機管理センターで2回にわたって災害対策本部員会議を開き、気象情報や被害状況を確認した。この日は公務がなかった新田八朗知事が急きょ登庁し、「気象情報に留意し、避難指示が出た場合には速やかに避難してください」と県民に呼び掛けた。

 富山地方気象台の担当者は、14日昼前まで雷を伴い激しい雨となるところがあると予測が出ており、土砂災害や竜巻などの突風に警戒するように促した。新田知事は、県職員の連絡、参集体制を再確認するなど警戒を強化し、被害状況の把握に努めるように指示を出した。

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