那須雪崩事故、栃木県の賠償判決確定 双方控訴せず

宇都宮地裁

 栃木県那須町で2017年3月、登山講習会中だった大田原高山岳部の生徒7人と教諭1人が死亡した雪崩事故を巡り、5遺族が県や県高校体育連盟(高体連)、講習会の責任者だった教諭ら3人に損害賠償を求めた訴訟で、県と県高体連の過失を認め、計約2億9270万円の賠償を命じた宇都宮地裁判決が13日、確定した。控訴期限の12日までに、遺族側と県側の双方が控訴しなかった。一方、教諭ら3人の刑事責任を巡っては地裁で公判が続いている。

 判決は、県と県高体連の賠償責任を認めた。雪崩事故の発生について、遅くとも事故当日の朝の時点で気象状況などを確認していれば「雪崩発生の可能性を認識できる状況だった」と指摘した。

 教諭ら3人については、公務員の職務で損害が発生した場合、国や自治体が賠償責任を負うとした国家賠償法の規定に基づき、請求を棄却。死亡した引率教諭については「過失は認められない」と判示した。

 提訴したのは、死亡した生徒4人と教諭1人の5遺族。雪崩発生を予見できたのに講習会を中止しなかったため、3人には重大な過失があり、事故は「人災」と訴えた。

 県や県高体連は賠償責任や過失があることを認めた。ただ、死亡した教諭については自身の命を守る判断ができたはずとして、過失相殺の適用を主張。3教諭側は国家賠償法の規定を基に訴えの却下を求めていた。

 一方、業務上過失致死傷罪に問われた教諭ら3人の刑事裁判が地裁で続いている。3人は「雪崩発生は予想できなかった」などとして起訴内容を否認し、無罪を主張している。

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