「救命講習が役立った」京都大学の学生2人、路上で意識失った男性の命救う

感謝状を手にする京都大1年の神谷さん(右)と櫛田さん(京都市左京区・左京消防署)

 京都市左京区の路上で意識を失った男性に応急手当てを行ったとして、京都大学経済学部1年の神谷康成さん(19)と櫛田琢人さん(18)=ともに左京区=に対し、京都市左京消防署が感謝状を贈った。2人は緊迫した状況の中、大学で受けた救命講習も参考にして迅速かつ的確な行動につなげた。

 同署によると、5月31日午後8時すぎ、左京区在住の50代男性が家から路上に出た辺りで突然倒れた。

 男性の家族が「止まってください。助けてください」と周囲に助けを求めたところ、自転車で通りがかった神谷さんと櫛田さんが異変に気付いた。

 男性は意識がなく泡を吹いていたため、2人はまず喉に何か詰まっていないかを確認。続いて男性をあおむけにすると、心停止直後のあえぐような「死戦期呼吸」が見られたため、交互に胸骨圧迫を行った。

 神谷さんは「自分の方法で合っているのか分からず怖さがあった」。櫛田さんは「ご家族がパニックだったので逆に冷静になれた。人が倒れていてびっくりしたが、僕たちがやらないといけないと思った」と振り返る。

 2人が思い返したのが、4月に大学が新入生対象に行った救命講習だ。オンラインの画面越しだったが、胸骨圧迫の方法など実技もあり、「役立ったのは間違いない」とうなずく。消防隊員が到着するまでの4分間ほど救命処置を続けた。

 感謝状の贈呈式は7月10日に左京消防署であり、和田太志署長は「お二人の活躍によって尊い命が救われた。勇気と行動力と冷静さに深い敬意と感謝を申し上げたい」と述べた。

 贈呈式には、当事者の男性も姿を見せた。前兆のない急性心筋梗塞だったといい、一時は集中治療室で生死の境をさまよったが、今では社会復帰するまでに回復した。

 男性は「命を助けてもらったお二人に、どうしても感謝の言葉を直接言いたかった」と出席した思いを語った。

 学生たちも男性の元気な姿を見て、「その時は自分たちの行動が合っていたのかモヤモヤしていたが、助けられて本当に良かった」と満面の笑みを浮かべた。

 贈呈式の後、神谷さんは「自分たちの行動が人の役に立てたことはすごいことだと実感している」と話し、櫛田さんも「同じような状況にまた遭遇したら、もう少し自信を持って対処したい」と言葉に力を込めた。

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