30代記者、久々にプリクラ撮ったら笑いが止まらない 盛れる機能進化…スマホ時代でも衰えない人気

記者3人で撮影したプリクラ。実際より肌が白く目は大きく、もはや別人
プリクラでは目や顔の大きさ、髪色まで変えられる=福井県福井市中央1丁目のプリクラ専門店P's

 「今日、プリ撮りに行かない?」。中高生時代、友人とそんな会話をしてプリクラ店に足を運んだ人もいるのでは。プリクラ機登場から30年近くたち、“盛れる”写真は手軽にスマートフォンで撮れる時代になったが、今も福井県内の専門店には放課後の女子高生グループが続々集まっている。時代が変わっても若者の人気を集める理由はどこにあるのか―。

◆レベルが違う

 6月下旬、平日の夕方。福井市のJR福井駅西口にあるプリクラ専門店「P’s」を訪ねると、制服姿の女子高生グループ数組が撮影を楽しんでいた。無料のヘアアイロンを備える店内の鏡台で髪形を整え、次々と撮影ブースのカーテンをくぐっていく。

 市内の高校に通う女子4人グループは「かわいい自分を残したいから、友達と会う度に撮る」そうだ。自然なメークを施したり、足腰の長さを変えたりといった加工写真はスマホアプリを使っても撮れるが「瞳の質感まで細かく加工できる。盛れるレベルがスマホと全然違う」と口をそろえる。別のグループの女子も「もはや別人になる。親に見せても『誰か分からん』って言われます」と笑う。

 同店には8機種あるが、「最新」の看板があるものや、友達にすすめられたものを選ぶそうだ。月に2、3回撮影する人が多いようで、1日で複数の機種をはしごする人も。印刷されたシールをはさみで切り分け合うと、スマホケースに挟んだり財布に入れたりしていた。

◆特別な日に

 店長の川嶋裕子さん(54)によると、来店者数はここ数年減少傾向。「子どもの数が減っているのに加えて、新型コロナの影響もあった」という。一方、休日になると1日に数百人が訪れるといい「プリクラそのものの人気がなくなったとは感じない」と話す。

 特に、バレンタインデーやクリスマスといったイベント時季には若者が殺到。同店では「フェニックスまつり」やハロウィーン、成人式になると1日数千人が来店し、着物やコスプレ姿の若者が店の前に長蛇の列をつくる。

 「記念として残すだけでなく、友達と撮りに行くこと自体もイベントになっているのでは」と川嶋さん。

◆浦島太郎状態

 進化を確かめるべく、30代の記者3人で、おそるおそるカーテンをくぐった。撮影は学生以来、使い方は変わっていないが料金は当時より100円高い500円になっていた。撮影ブースに入り、音声ガイドに従ってネコの手や「きゅん」ポーズをしてみる。1枚ごとに背景色を変えたり、頭に猫耳などの飾りを付けたり…。あのころにはなかった機能がてんこ盛りだ。

 撮影が終わり、らくがきブースへ移動すると「なんだこれは…」。液晶画面に表示された3人はもはや別人。肌は真っ白で、目は実際の倍ぐらい開いている。もう笑うしかない。タッチパネルで髪や目の色が変えられるだけでなく、顔の大きさは縦、横を選んで小さくすることもできた。

 初めて見る機能に3人とも“浦島太郎状態”。進化に驚いているうちに時間切れとなった。

 シールに印刷されたのは、あらゆる加工を試し髪色も肌の質感も別人の3人。韓流アイドルのような若々しい姿(あくまで個人の感想)にまた笑いが止まらない。「詐欺プリ」なんて言葉があるのも納得だ。

 近年はソフトウエアのアップデートがあり、機種を入れ替えなくても定期的に新機能が増えていくという。川嶋さんは「機能の進化はめまぐるしいので、久しぶりに撮ってみると楽しんでもらえるかも」と話していた。

 【プリクラ】「プリント倶楽部(クラブ)」に代表される写真シール作製機の通称。同機種は1995年7月に登場。有名タレントが出演するテレビ番組で取り上げられたことを機に認知され、96~97年にブレークした。全身を撮影できるようになるなど機能の進化は続き、2000年代には再び市場が拡大。写真はプリントするだけでなくネットでダウンロードでき、交流サイト(SNS)で使える短時間ムービーが作れる機種もある。

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