「ワゴン」(宮崎市)が青島に縫製工場開設 地域密着ブランドへ強み

新たに開設した縫製工場で自社製品を手にするワゴンの錦田雅哉社長=宮崎市青島1丁目

 衣料品セレクトショップ経営のワゴン(宮崎市、錦田雅哉社長)が、宮崎市青島に縫製工場を開設した。自社で展開しているアパレルブランドの安定生産や、地域に密着した新ブランド立ち上げによる事業基盤の強化が狙い。セレクトショップが自ら縫製工場を運営するのは全国的にも珍しいという。
 同社は2014年からショートパンツ中心のブランド「ショートパンツエブリデイ」を展開。製造は県内業者に委託し、同市・若草通りの自社店舗「ワゴン」で販売するほか、県外の取扱店も増やしてきた。しかし最近は国内縫製業者の減少や、円安によるアパレル製造の国内回帰で委託先が多忙化。納期などの調整が難しくなったことから、1年半前から自社工場の開設準備を進めてきた。
 6月に操業開始した工場はホテルANAホリデイ・インリゾート宮崎とこどものくにを結ぶ通路沿いの空きテナントに入居。約190平方メートルの施設内に、工業用ミシン10台や裁断機などを備える。新規雇用は経験者も含め4人。将来的には7、8人まで増やし、受託製造と合わせシャツやパンツなど年間8千着の生産を目指す。
 自社工場では試作や細かなデザイン変更などがしやすく、製造の自由度が高まるという。そうしたメリットに加え、青島に拠点を持つイメージも強みに、宮崎の海や山を楽しむ人たちに向けた新ブランド立ち上げも進行中。ショールームを兼ねたショップを工場に併設する計画も温めている。
 今年3月に創業30年を迎えた同社。錦田社長(54)は「今後も生き残っていくには地元宮崎だからこその価値を発信することがより重要になる。青島の工場はそのための大切な拠点」と位置付ける。その上で「宮崎発のブランドとして世界に知ってもらえるくらい力を付け、地域の魅力向上や雇用にも貢献したい」と話している。

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