【SNS特報班】宮崎市議会 タブレット導入効果は?

 宮崎市議会がタブレット端末を導入して半年以上が経過しています。議員の活用状況や導入の効果を調べてほしいです。【宮崎市、会社員男性(48)】
 質問を寄せた宮崎市の会社員男性(48)は4月の市議選後、再選した議員のSNSへの投稿を見た。タブレット操作に慣れてもらうため、市議会事務局が研修会を開催。初当選の議員に加え、再選した議員も参加したことを伝える内容で「効率的に使えているのだろうか」と疑問を持った。
 同市議会は2022年9月定例会から、タブレット端末を議員用と事務局用に計56台導入している。市議会事務局によると、ペーパーレス化による議会運営の効率化や、議員の利便性向上などが目的。費用は5年間のリース料と通信料込みで1293万円。
 県内の市町村議会でもタブレット端末の導入は進む。宮崎日日新聞のまとめでは、6月末時点で都城市、高千穂町、諸塚村などが導入済みで、宮崎市を含めて13市町村。延岡、西都市、高鍋町は本年度中の導入を予定する。えびの市、門川町、西米良村など10市町村は未導入、検討中とした。
 ペーパーレス化が進むが、日南市議会は議案書などは紙での配布を続ける。小林市議会も、希望する議員には紙の資料を配付。4月の改選後は新人議員が増え「資料の見方に慣れていない」として紙を希望するケースがみられるという。
 宮崎市議会は3月定例会から一部の資料を除き、ペーパーレス化で運用する。市議会事務局の試算では、3月定例会で紙の利用が約20万枚減り、約28万円の削減につながった。
 市議の間には「持ち運びが便利で必要な資料を短時間で探せる」「操作に慣れないが、時代の流れとして受け入れるしかない」とさまざまな声がある。
 5日に閉会した宮崎市議会6月定例会の会期中、本会議や委員会では、慣れた手つきでタブレット端末を扱う議員の姿が見られた。
 4期目の日高昭彦議員(69)は「必要な項目を検索してすぐ見つけられる。打ち合わせがスムーズにいく」、4月に初当選した上野信吾議員(39)は「場所を問わずに資料を確認できる」とメリットを実感する。
 また、初当選の西岡昇司議員(60)は、以前勤務していたJAでタブレットを活用した経験があり、「すんなり使うことができた。大切な部分に線を引け、文字も書ける」と話す。
 ペーパーレス化で、議会事務局の職員は印刷した資料を製本し、配布するといった作業が不要となった。語句の訂正や修正があった場合でも、データを更新するだけで終わる。黒木啓介事務局次長は、「職員の事務負担は相当減ったように感じる」と語る。
 一方で操作の習熟度には個人差があり、一般質問では、持参した紙の資料を併用する議員も。質問に立った松山清子議員(71)は、「複数の資料を見比べる時などは操作が難しい」という。
 黒木通哲議員(73)も「大切な資料は紙が確認しやすい」と話す。議会事務局は操作方法を随時指導しており、松山、黒木両議員ともに「時代の流れに乗り遅れないよう、何とか使いこなしたい」と述べた。
 県内では、半数の市町村議会がタブレットを導入。都農町は導入を見据えて、先進地の視察を予定している。宮崎大学の新地辰朗副学長(教育工学・情報科学)は「大量の情報を瞬時に共有して議論できる。議会の質向上が目的であれば、導入の機運は広がっていくだろう」と指摘する。
 市町村議会の議員が当局のチェック機能を果たすために、文書や資料を読み込み、活用することは欠かせないため、「操作が苦手な議員が取り残されないよう、気軽に学べる環境も必要」としている。

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