一風変わったイベントを展開する京都の商店街 「迷った時は面白い方に進む」、会長の目指す商店街の姿は

多様性や多文化共生も見据えた商店街振興に取り組む庫本さん(八幡市男山)

 LGBTQ(性的少数者)の人たちによる絵本販売やワークショップ、足腰が弱っている人向けの電動カート試乗会や、学生によるスマートフォン教室。京都府八幡市の男山団地内にある男山中央センター商店街は一風変わったイベントを展開している。2年前から商店街の会長を務める庫本亮さん(50)が目指すのは「みんなに優しい商店街」。年齢も国籍も背景もさまざまな人たちが集い交流する-そんな姿を思い描く。

 生まれ育ちは男山。「独立して何か商売をしたい」と、20代後半で革問屋に就職。滋賀県の鞄店で製造のノウハウなどを学び、OEM(相手先ブランドによる生産)を手掛ける会社を2006年、大阪府東大阪市で設立した。

 ものづくり作家の入江望美さん(42)=八幡市=と一緒に、鞄やアクセサリーなど革製品の製作販売や修理などを手掛ける「Room106」を同商店街に開いたのは3年前。当初はアトリエのみの予定だったが、店長を務める入江さんの提案もあり店舗も併設することに。これが「地元とのつながり」を生むきっかけになった。

 地域に多いお年寄りをはじめ、子育てに悩む母親、障害のある家族を持つ人、性的少数者など、地域の多様な人と店を通じて交流が深まった。「店は悩みを話しあえる居場所でもある。商店街をさまざまな人が活躍できる場にもしたい」。バッグドクターを名乗っての店の運営や商店街振興に取り組む思いを語る。

 会長だけでなく自治会にも携わる。男山地域に四つある商店街をまとめることや、府内の商店街同士の連携などが「野望」という。入江さんは「ものづくりからまちづくりまで。すぐ引き受ける」と苦笑交じりに指摘するが、本人は「迷った時は面白い方に進む。あれこれやりたくなるんです」と笑う。商店街のイベントの協力者も募っている。

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