【高校野球神奈川大会】「逆転の川和」一歩及ばず 最後の打席「申し訳ない」泣きじゃくる主将・馬場

逆転負けを喫し、肩を落とす川和ナイン=等々力(中原 義史写す)

◆川和2-4立花学園

 一塁に思い切りヘッドスライディングし、しばらく立ち上がれなかった。

 2―4の九回2死一、三塁。川和の主将で4番馬場が、1球で一ゴロに仕留められた。2番名久井、3番秦の両2年生が連打で追いすがり、合言葉の「逆転の川和」が現実味を帯び始めていた。だからキャプテンは、あっという間に終わった最後の打席が、悔しくてたまらなかった。

 「あんなに何回もチャンスをもらったのに…」。七回は2死二、三塁の絶好機で三ゴロに倒れた。今春は本塁打も放った頼れるリーダーは5打数ノーヒット。仲間たちに「申し訳ない、申し訳ない」と何度も繰り返し、泣きじゃくった。

 でも、出場14人のうち半数が下級生の若いチームが昨夏ベスト4の第2シードを追い詰めたのは、紛れもなく馬場ら3年生の支えがあったから。馬場とバッテリーを組んだ名久井は「優しい3年生がいたから、僕たちはただプレーするだけだった」と感謝する。

 10年率いた前任者に代わり、今年就任した平野太一監督(38)も「指導者が代わって選手も難しかっただろうが、よくやった」と教え子たちを誇った。

 謝罪の言葉ばかりだった馬場は、最後は前を向いて後輩たちに言った。「ありがとう。来年は必ず、もっと上へ行ってくれ」。試合前、真っ白だったキャプテンのユニホームは、誰よりも泥だらけになっていた。 

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