「仲間忘れない」京アニ事件伝える碑建立へ、遺族・スタッフら有志が初会合

事件を伝える碑の建立について話し合う「志を繋ぐ会」の関係者ら(14日午後2時15分、宇治市・宇治商工会議所)

 36人が死亡した2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、遺族や京アニのスタッフら有志でつくる「志を繋(つな)ぐ会」は14日、京都府宇治市内で計画している事件を伝える碑の建立に向けて、初会合を同市で開いた。スタッフは「仲間を忘れない碑にしたい」などと意見を出し合った。

 碑は、事件や犠牲者の存在、国内外から集まった支援への感謝を長く記憶にとどめる象徴として設置。京アニ本社がある宇治市内の公園を想定し、事件発生から5年となる来年7月18日までの完成を目指す。同会には地元の市観光協会や宇治商工会議所も参加している。

 会合では、義援金の残金約3千万円を費用に充てることなどを確認。碑のデザイン案についてスタッフの1人は「一緒にアニメーションを作ってきた仲間たちのことを忘れない気持ちや、ご家族の愛情と感謝、志が閉ざされた悔しさなど、いろいろな感情をつないでいけるような碑にできれば」と話した。

 設置場所については、複数の遺族が「近隣住民に迷惑がかからないよう、開かれた場所での設置が望ましい」との意見を述べるなどした。今後、候補地やデザイン案を絞り込み、候補地の関係先に建立の要望書を提出する。来年7月に除幕式を行う予定という。

 一方、京アニは事件で全焼した京都市伏見区の第1スタジオ跡地にも、今回の碑とは別に慰霊碑の建立を検討している。跡地は将来的に会社の事業用地としての利用を見込み、慰霊碑は非公開にする方針。

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