乙野さん、作家としての原点など語る 豊後大野市の7中学校で講演 【大分県】

後輩の前で講演する乙野四方字さん=豊後大野市緒方町下自在の緒方中
真剣な表情で乙野さんの講演を聞く中学生
後輩の前で講演する乙野四方字さん

 【豊後大野】「僕が愛したすべての君へ」「君を愛したひとりの僕へ」などの小説で知られる豊後大野市緒方町出身の作家、乙野四方字(おとの・よもじ)さん(42)の講演が10~12日、市内7中学校であった。第一線で活躍する地元出身者を招いた市教委の「郷土の先輩特別授業」の一環。生徒は人気小説家の話に熱心に聞き入った。

 乙野さんは2012年に作家デビュー。16年刊行の「僕が愛した~」「君を愛した~」は大きなヒットとなり、22年10月に両作品同時にアニメ化された。

 10日は母校の緒方中(内海真理子校長、54人)を訪れ、全校生徒を前に講演した。

 14歳ごろ、超能力や異世界などをテーマにしたライトノベルと呼ばれる若者向け作品を読み始め、高校時代、電卓の画面が10分で消えることに「アリバイ工作」の着想を得て趣味で小説を書き始めたというエピソードを紹介。

 その後、声優や俳優を目指したもののかなわず、友人の勧めで小説を文芸賞に応募してデビューした経緯を説明。「夢を諦めるなと言われるが、気楽に断念してもいい。難しいことにしがみつくより新しいことに挑戦し、楽しい経験を重ねてほしい」と述べた。

 質問コーナーなどもあった。小説をアニメ化する際の苦労などについて尋ねた2年の阿南莉緒(りお)さん(13)は「出版関係の仕事をしたいと思っており、好きな作家から業界の話を聞けて勉強になった。夢に向かって頑張りたい」と話した。

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