ワークマンから新しく発売される国産フルタングナイフのご紹介です。商品名はそのままフルタングナイフ。税込3,900円で6月11日頃からワークマンの店舗で発売が始まっておりますが、このナイフの詳細を皆様にお見せしたいと思います。
ワークマンからフルタングナイフが新登場
全体的にシャープな印象のデザインに仕上げておりますが、フルタングで丈夫な構造になっているのはもちろんのこと、サイズ感や形状・・・日本製なのに比較的安価なナイフに仕上げられたと思っています。
フルタングナイフができるまで
2022年2月にワークマンがキャンプ用品に本格参入して、ベーシックドームテントやフュージョンダウンシュラフなどを発表しておりましたが、その後の春頃に次期主力となるキャンプ用品の開発案などを話し合う機会を頂いておりました。
そこでこのフルタング構造のキャンプ用ナイフを提案させていただいて、ワークマンで取り組んでいただけることになりました。
このナイフをワークマンで作って欲しいと思った一番の理由は、やはりコストパフォーマンス。
とても大きな生産流通販売を持っているワークマンで作ることができたら、気軽にお小遣いの範囲内でも本格的なキャンプ用ナイフを使って楽しんでもらえるんじゃないかと思って提案しました。
ただ、いくら低価格に販売できる可能性があったとしても、今すでに手頃な価格で信頼性が高いものをそのまま参考にして価格だけをより下げたものを目指すというのはあまり面白くありません。
例えばモーラナイフのヘビーデューティー。
筆者がメインでずっと使ってきたナイフですが、刃厚が3.2mmあってとてもタフな作りをしたナイフです。
モーラナイフの場合は、ナロータングと言われる構造でハンドルの中に埋まって固定されている金属の形が刃の部分よりも細くなっています。
ワークマンのナイフのように鋼材が一体化した形でハンドルまで来ているものをフルタングと言いいます。
構造だけで言えばもちろんフルタングの方が丈夫と言われておりますが、モーラナイフはフルタングではないもののそれでも非常に丈夫で全然壊れません。
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モーラのヘビーデューティーは価格こそ安いナイフですが、簡単に参考にできるような代物ではないんじゃないかな。
技術と歴史によって作られた素晴らしいナイフだと思うので、おすすめのナイフではあるんですが、ワークマンでナイフを作るなら違うコンセプトで開発して、「気軽に買える本格ナイフの新しい選択肢」として出していきたいと思いました。
理想の構造は
まず考えたのが、薪割りなどのハードな仕様にも耐えてくれる「フルタング構造のシースナイフ」であること。
ハンドル部分やシースの材質にもこだわって、その上で価格は三千円台までに抑えることができたら、初めて買うナイフを探すような方でも選んで検討してもらえるのでは?
そのように思い、目標価格を含めてワークマンへ相談をしました。
こういった刃物は、海外生産を含めて検討すれば実はもっと安く作ることもできたんじゃないかと思いますが、今回のナイフ作りはワークマンにとっても初めての試みでした。
開発協力させていただいた筆者も、色々なナイフを使ってみた経験からどんなものがどのくらいの値段で作れたらいいなというような意見は言えますが、決して刃物の専門家ではありません。
その体勢で実際に良いナイフを作ろうと思ったら信頼性の高い刃物が作れるプロとタッグを組んでやるのが一番だということで、今回のワークマンのナイフを作ってくださったのは岐阜県関市にある刃物会社の職人さんたち。
関でフルタングナイフを1から開発して、よくこの値段で仕上げてくださったなと思います。
何せ今回は三千円台の国産フルタングという厳しい達成目標があり、その中でプロの人たちに助けてもらって開発されたナイフです。
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実際ワークマンでこういった刃物を作ると、もちろん大量生産によってコストを抑える効果はあると思いますが、それにも限界があるのでかなり頑張って作ってくれたと思います。
【ワークマン】フルタングナイフの詳細をチェック
それでは、ワークマンの三千円台の国産フルタングナイフの詳細をご紹介していきます。実際にどんなものが出来上がったのでしょうか。
ナイフのスペック確認
それでは、スペックから見ていきましょう。
まず、ナイフと言っても種類は様々ですが、これはシースナイフという折りたためない固定の刃がついたタイプで、たためないのでシースが付いています。
とにかく頑丈さが売りですが、フルタング構造をしているので、より堅牢性が高い作りとなっています。
フルタングといえばバトニングで薪割りするというイメージをする人が多いと思いますが、実はそもそもナイフで薪割りをするというのは強い負荷がかかるので本来向いてる行為ではありません。
ただ薪割りするのであれば、先ほどのタングが細いナロータイプよりも、こういったフルタング構造の方がより耐えられるという構造です。
今回のこのナイフも、当然薪割りという作業も想定内に入れた作りになっています。
刃の断面はスカンジグラインドというシンプルな研ぎやすい形状で、薪割りする際にも刃先を当てて押し広げられるような形をしてます。
刃の持ち手に近いところの構造がくぼんでいることで、砥石に当てた時に研ぎやすさもあると思います。
似たようなナイフと比較
もう一つこの刃の厚みもポイントになります。
こちらは3mm厚となっていて先ほどのモーラのヘビーデューティーと比較しますと3.2mmと3mmです。
刃の厚みに関しては、実はもう少し厚くしたいという気持ちもあったんですが、関の刃物屋さんが家庭用の包丁とかも多く作っているところで、普段扱われている機械とか鋼材の中で得意とする中では、最大の刃厚が3mm厚だったという事情もあります。
やはりお願いする会社の得意とする中で作っていただいた方が、より良いナイフになるだろうと考え、刃厚は3mmとなりました。
一般的なキャンプ用ナイフの中で特別厚みがあるわけではないですが、逆に薄くもなく、薪割りの用途にも使ってもらえると思います。
ナイフのサイズは230mmで、シースに入れると250mmになります。
サイズ感としては小ぶりでも使い勝手がいいモーラナイフの大きさを参考にしました。
シース込みの重さは175.3gです。
ナイフの背
ナイフの背の部分はエッジが立たせてあるので、ファイヤースターターで火花を出したりするのもできる形になっています。
ちょっとだけ擦ってみますと火花が出ます。
鋼材
ナイフの鋼材ですが、一般的にはステンレスとだけ書かれている商品も結構多いんですけど、これはSUS420J2と書かれています。
わざわざ鋼材名を書いているから高級なものを使ってるのか・・・というわけではなく、やはり実用性のあるナイフを低価格でという目標で作ってくださってるので、高級なステンレス素材は使えない。それでも実用の範囲内で選んでくれていると思います。
試しにSUS420J2で検索してみると、日本製のフルーツナイフやベルモントさんのフィッシング出刃とか出てきました。他にも、電工ナイフや釣り用の出刃が出てきたり、中華包丁もありますね。
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比較的お手頃な値段帯の刃物類に、一般的に使われてるステンレス鋼なんですね。
ハンドル
続いてハンドルを見てみましょう。
「安くて丈夫でかつ見た目にもある程度上質感が欲しい」…という無理難題の中で、シックなブラックのハンドルに仕上げてくれました。
ハンドルの上部はブレードがまだ出ていて、握った時に手が触れるラインに沿ってだんだん狭まってハンドルと同じ高さになっています。
職人さんが作っているところの画像とかありますかと聞いたら、ちょうどこの辺の最後の処理をしてるところを送ってくださいました。
ハンドルにはくぼみがある形状になっていますが、ナイフを握ると自然と人差し指と中指がかかりますので持ちやすく、ずれにくいです。
くぼみの形状がそのままシースのベルトでナイフを固定できる役割になっているので、引っかかって抜けません。
木材は樫の木から作られた硬い合板を使っているそうです。
シースは牛革
そして最後にシース。
最初はフェイクレザーでした。正直、私は本革製が良かったんですが、フェイクレザーで致し方ない。
迷った時は最初の目的に立ち戻ります。本革シースのナイフを作りたかったわけではなく、あくまでも、「お小遣いで買える範囲内の国産フルタングナイフを作る」のが目的だっただろうと。
ただ、先日送られてきた完成品が、最後の最後にして牛革製のシースに変わっておりました。
途中の試作品。そもそも色が茶色でした。
完成品はシックなブラックとなりました。
フェイクレザーですが、最近のフェイクレザーは本当によくできているので、本革と見間違えることもありますよね。ただ、よく比べるとやはり違う。フェイクレザーは、握るとちょっとギシギシ感があるんですよね。
試作品からの変化
試作品だとハンドルが少し短かったんです。
小ぶりでいい感じではあったのですが、握ると小指がギリギリかかるくらいで手が小さい人はいいかもしれないけどここは直してほしいなっていうことでお願いしました。
完成品では長くなりましてホールド感がとても良くなりましたね。
ちなみに、この試作品ではたくさん薪割りしましたが、やはり頑丈な作りなので小さいボディなのにガンガン割れました。
【ワークマン】フルタングナイフで色々とカットしてみます
それでは実際に色々なものを切って、切れ味を確認していきたいと思います。
紙&食材をカット
先に紙を切ってみましょう。
食材も切ってみようかなと思います。
あえてこういう刃厚があるナイフでは切りにくいとされるトマトはまあまあよく切れます。
薄切りにすると、本当によく切れる包丁で切ると水があまり出ないと言いますが、そこまでではないのであまり向いてはいないと思いますが、それでも料理するのに何か食材を切るっていうのは問題なく使えそうです。
薪割りしたりする時は別でキッチンナイフを持っていく人も多いかもしれませんが、これ1本でという人もいますから、調理も行けます。
バトニング&フェザースティック作り
それでは木を削ったり割ったりしてみようかなと思いますが、まずはバトニングから。
ヒノキも、ちょっと固めな広葉樹アカシアも問題なく割れます。
削ってフェザースティックを作ってみましょう。
ファイヤースターターで火をつけてみると、着火しました。
販売に関するお知らせ
ワークマンから新しく発売されるフルタングナイフのご紹介でした。
初回生産分は2000個で、ショッピングモールなどの施設内にあるワークマンについては刃物が置けない事情があるようで入りませんが、それ以外の店舗には6月11日頃から随時入荷されているようです。
その後の生産については、売れ行きを見ながら随時追加していくそうですから、ワークマンの商品はやはり人気商品になってしまうと最初は品薄になりがちなんですよね。
実際どれくらい売れるかっていうのは、事前に判断するのがなかなか難しいみたいで、このナイフも最初の売れ行きが良かった場合は次の生産分も増やしてくれると思います。
今回も皆様のキャンプ道具選びの何かの参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。