日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」が様変わり!「地下2階」の供用も始まり「駅まち一体」の空間に【レポート】

2020年6月に暫定開業した「虎ノ門ヒルズ駅」、本日15日から地下2階が使えるようになったほか、ホームの拡幅などでさらに利便性の高い駅になりました

東京メトロは2023年7月15日、拡張工事により生まれ変わった「虎ノ門ヒルズ駅」(東京都港区)を報道陣に公開しました。

「虎ノ門ヒルズ駅」は2016年2月に着工し、2020年6月に開業。東京メトロ日比谷線としては56年ぶりの新駅です。地下1階のホームは2面2線の相対式で、日比谷線の電車だけでなく直通先の東武鉄道の電車「THライナー」なども乗り入れます。また開業時に約400メートル離れた銀座線「虎ノ門駅」の乗換駅に設定されており、(60分以内であれば)改札を出ても追加料金不要で乗り換えられるようになっています。

名前の通り虎ノ門ヒルズへのアクセスには大変便利な駅ではありましたが、これまでは東京2020オリンピック・パラリンピックに間に合わせるためのいわば「仮の姿」でした。暫定開業後も「駅まち一体」を目指した駅の拡張工事は続いており、およそ2年ほどの時を経て完成。本日から新たに地下2階のコンコースが利用できるようになったほか、ホームの幅が大幅に拡大するなど利便性の高い駅に進化しています。

地下2階が完成、広々としたコンコースに

まずは新たに完成した部分から見ていきます。これまでは電車の発着する地下1階(ホーム階)までしか使えませんでしたが、地下2階がコンコース階として開業し、改札口もこちらに移設、一か所に集約されました。

地下2階(コンコース階)のデザインコンセプトは『「結」(ゆい)』。「人と街、人と人、2つの路線を結ぶ駅」「他とつながることで駅と街が東京に、そして世界に広がる可能性をもたらす」という意味が込められています
改札口は地下2階に移設して集約されました。デザイン面に目を向ければ、正面に見える改札内のパブリックアートが目立ちます。天井は配管などが見えるよう剝き出しになっていますが、これは施工が完了していないわけではなく意図されたデザインだそうです

コンコース階は両隣の再開発ビルと地下鉄駅前広場を通じてつながっており、駅の東西や地上・地下の上下移動がスムーズに。これまで銀座線の「虎ノ門駅」に乗り換えるためには一度地上に出る必要がありましたが、今後は地下歩行者通路で結ばれますので、雨の日も傘いらずです。

なお、コンコース階の供用開始にともない、地上のA1・A2出入口も閉鎖され、新しい出入口に切り替えられます。改札口の移設や出入口の変更は掲示物などで告知されていましたが、15日は初日ということもあり戸惑う方も若干名見られました。

地下1階のホームは大幅に拡大

拡幅された地下1階ホーム(北千住方面行きホーム)写真手前左寄りの2本の跡は工事用の囲いを設置していた名残

続いてホーム階の変化を見ていきます。北千住方面行きホームは約6.0mから最大約14.3mに拡大。上記写真でいえば、これまでのホームは床の白い部分の3/4程度の広さでした。反対側の中目黒方面行きホームも、やや狭いながら従来の約4.9mから最大約7.9mに拡大しています。

また写真の北千住方面行きホームは、隣接する「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」の地下鉄駅前広場(ステーションアトリウム)と隣接しており、ガラスで仕切られています。

上記写真の反対側から撮影。写真右手側が線路、左手側のガラス窓の向こうにステーションアトリウムが広がっています
ステーションアトリウム側から電車の到着した地下1階のホームを覗いてみます

自然光が地下1階のホームにまで差し込むことで、ホームは明るく開放的な空間に。ステーションアトリウムに行けばガラス越しに電車の行きかう姿も遠目に見られます。鉄道ファンや鉄道好きな子供向けには嬉しい推しポイントかもしれません。

「駅まち一体」目指して協働

このように2年ほどかけて様変わりした「虎ノ門ヒルズ駅」ですが、実は事業主体はUR都市機構。東京メトロは設計・工事を受託するという立場です。

虎ノ門ヒルズという「まち」と一体的に利用できるよう、虎ノ門一・二丁目地区市街地再開発組合と連携しながら駅の拡張工事を行う――そんな「まちづくりのための連携・調整」が必要不可欠な事業であったため、調整役としての能力を期待されたUR都市機構との協働体制が敷かれたのです。

まだ残工事はあるものの、旅客が利用する部分はこれで完成。あとは2023年秋に大型複合施設「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」が開業すれば、虎ノ門ヒルズは区域面積7.5ha、延床面積80万㎡の「国際新都心・グローバルビジネスセンター」として完成。六本木ヒルズに匹敵するエリアになります。

2020年6月から利用されてきた虎ノ門ヒルズ駅ですが、将来的には現状の2倍以上となる8万人/日の利用が見込まれており、その真価がいよいよ発揮されることになりそうです。

記事:一橋正浩

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