<知事選>共産が独自候補擁立…柴岡祐真氏が出馬表明 前回は大野氏を自主支援「闘うことが県民の利益に」

柴岡祐真氏

 任期満了に伴う埼玉県知事選(20日告示、8月6日投開票)で、政党役員の柴岡祐真氏(39)が14日、共産党の公認を受けて出馬すると表明した。会見した柴岡氏は「大野県政は福祉の心や県民の暮らしに思いを寄せる姿勢が足りない。温かい県政の実現が求められている」と述べた。

 知事選は自民、公明、立民、国民、維新5党の各県組織の支持を受ける現職の大野元裕氏のほか、新人3人がすでに出馬を表明している。共産は2019年の前回知事選で大野氏を自主支援した経緯があるが、党県委員会の荻原初男委員長は「自民党県政の復活を許さないためだった。(4年間で)大野県政の政治的立ち位置が変化し、国政で国民を苦しめる政党の支持を受けている。擁立して闘うことが県民の利益につながる」と説明した。

 柴岡氏は深谷市出身。2018年から党県委員会書記長を務める。公約には子育て支援の推進や国民健康保険税引き下げ、省エネ・再エネによる経済活性化などを掲げ、地域経済や国防問題について「国にものを言える県政を目指す」とした。荻原委員長は柴岡氏を「県における活動の要の役割を果たしている」と後押しした。

■告示の1週間前、支持者戸惑いも

 告示1週間前の共産の独自候補者擁立に支持者からは戸惑いの声も漏れた。共産は前回2019年の知事選で初当選を目指した大野氏を自主支援の形で推した経緯がある。

 4年前の大野氏当選に「私たちの票があってこそと自負している」と語る共産党関係者は、「(自民党などの)支持を受けず、市民党的な立場なら一緒にやれたのに。残念な気持ちだ」と打ち明けた。今回一転して独自候補を擁立することに、関係者は「『よく擁立を決断してくれた』という声がある一方で、『なぜ今さら擁立するのか』と言ってきた人もいる。支持者の票にも複雑な反応が出るだろう」と話した。

 共産に近い立場を取る市民グループ「民主県政の会」は今月7日に自主投票を表明しており、柴岡氏は会見で「支持を受ける団体はない」と述べた。

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