“ポルシェ使い”バッハラーが残り6分で大逆転。GT-Rとのトップ争いを制す/GTWCアジア第5戦鈴鹿

 7月15日、三重県の鈴鹿サーキットでファナテックGTワールド・チャレンジ・アジア・パワード・バイAWSの2023年第3ラウンド決勝レース1となる第5戦が行われ、AASモータースポーツ・バイ・アブソリュート・レーシングの911号車ポルシェ911 GT3 R(ヴティコーン・インタラプワサク/クラウス・バッハラー)がレース終盤のトップ争いを制して総合優勝を飾った。

 2022年からシリーズの大部分を日本で開催し『ジャパンカップ』のタイトルを付けたことで日本チームの参戦台数が増加し、毎レース見応えあるバトルが繰り広げられているGTWCアジア。6月の第2ラウンド富士に続き、迎える2023年第3ラウンドは鈴鹿サーキットで第5戦・第6戦が行われる。

 まずレース1となる第5戦は15日の午前中に予選が行われ、ファントム・プロ・レーシングの333号車アウディR8 LMS GT3が暫定ポールポジションとなっていたものの、トラックリミット違反でタイム抹消となり、ABSSAモータースポーツの16号車マクラーレン720S GT3を駆る澤圭太が総合ポールを手にする結果になった。

 60分で争われる決勝は気温32.2度、路面温度46度というコンディションで14時20分に幕を開けた。スタートでは1〜2コーナーは大きな混乱なく各マシンが駆け抜けるが、Dステーション・レーシングの47号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3が3コーナーで接触があったかスピン、そのままグラベルで動けなくなってしまったためセーフティカー(SC)が導入される。

2023GTWCアジア第5戦鈴鹿の決勝レーススタート

 SCランは10分ほど続き、5周目からレース残り46分で再開。首位の16号車マクラーレンを駆る澤がリスタートを決め、2番手につけるチーム5ZIGENの500号車ニッサンGT-RニスモGT3のHIROBONを引き離す。しかし、トップがスプーンカーブに差し掛かったあたりでKチューンズ・レーシングの96号車レクサスRC F GT3がデグナーカーブで単独クラッシュを喫してしまったため、この日2度目のSCが導入。バリアの修復が必要なため、残り42分40秒で赤旗に切り替えられ、各マシンはピットレーンでレース再開を待つことに。

 車両回収およびバリア修復完了後、レースは15時から1周のSC先導後に再開された。リスタート後は順調にレースが進み、残り35分というところでピットウインドウが10分間オープンとなり、各チームがピット作業ならびにドライバー交代を行っていく。上位勢ではチーム5ZIGENがピットウインドウオープンと同時に早めのストップで川端伸太朗にステアリングを託すが、首位をいくABSSAモータースポーツは残り28分でピットに向かい選択が分かれる。

 しかし、全車ピットストップ完了後に総合トップに立ったのはチーム5ZIGENのニッサンGT-RニスモGT3となり、川端が2番手の16号車井上雅貴を6秒差でリードする。だがABSSAの16号車は規定ピットストップ時間が足りなかったとして6秒のストップ・アンド・ゴーペナルティを科されてしまう。

 16号車の後退で代わって2番手に浮上してきたのは、ファルケン・モータースポーツのポルシェ911 GT3 Rでニュル24時間への参戦経験がある“ポルシェ使い”のバッハラー。3番手にはアウディスポーツ・アジア・チーム・アブソリュートの11号車を駆るジェームス・ユー、その0.5秒差でポルシェセンター岡崎の18号車をドライブする上村優太、さらに0.2秒差でR&Bレーシングの4号車ポルシェを駆るパトリック・ピレが続く。

 ポルシェ同士の4番手争いはテール・トゥ・ノーズのバトルが続き、残り15分というところでピレが前に出る。その後ピレは、さらに前をいく11号車もかわして、ふたりのポルシェドライバーが2、3番手に浮上してくる。さらにレースは残り10分を切って最終盤に突入していき、トップ争いが激化。バッハラーが川端の背後に迫ると、残り6分30秒となる22周目の2コーナーで911号車のバッハラーがインから前に出る。

2023GTWCアジア第5戦鈴鹿 22周目の2コーナーで500号車GT-Rをかわしてトップに立った911号車ポルシェ

 レースは25周目に60分を迎えてチェッカーとなり、AASモータースポーツ・バイ・アブソリュート・レーシングの911号車ポルシェ911 GT3 Rが第5戦を制した。2位にはチーム5ZIGENの500号車ニッサンGT-RニスモGT3、そして3位には終盤に追い上げをみせたポルシェセンター岡崎の18号車ポルシェ911 GT3 Rが続いた。

 その後方もレース終盤に激しい争いをみせ、最終的にアウディスポーツ・アジア・チーム・アブソリュートの11号車が4位、クライマックス・レーシングの2号車メルセデスAMG GT3が5位、そして6位には15番手スタートから大幅に順位を上げたマエザワ・レーシングの555号車フェラーリ488 GT3が入る結果になった。

 GT4はクラスポールからレースをスタートしたYZレーシング・ウィズ・BMWチーム・スタディの50号車BMW M4 GT4がポール・トゥ・ウインを飾り、2位にアキランド・レーシングの71号車トヨタGRスープラGT4、3位にチェックショップ・ケイマニア・レーシングの718号車ポルシェ・ケイマン718 GT4 RSクラブスポーツが続いている。

2023GTWCアジア第5戦鈴鹿 クラウス・バッハラーの911号車ポルシェ911 GT3 Rと川端伸太朗の500号車ニッサンGT-RニスモGT3のバトル
2023GTWCアジア第5戦鈴鹿 アウディスポーツ・アジア・チーム・アブソリュート11号車とポルシェセンター岡崎18号車の争い
2023GTWCアジア第5戦鈴鹿 レース序盤にトップを快走したABSSAモータースポーツの16号車マクラーレン720S GT3
2023GTWCアジア第5戦鈴鹿 6位フィニッシュを果たしたマエザワ・レーシングの555号車フェラーリ488 GT3
2023GTWCアジア第5戦鈴鹿 GT3プロアマクラスの表彰式
2023GTWCアジア第5戦鈴鹿 GT3アマクラスの表彰式
2023GTWCアジア第5戦鈴鹿 GT4クラスを制した織戸学/加納政樹/片野田洋介監督(YZレーシング・ウィズ・BMWチーム・スタディ)
2023GTWCアジア第5戦鈴鹿 GT4シルバー・アマクラスの表彰式
2023GTWCアジア第5戦鈴鹿 GT4アマクラスの表彰式
2023GTWCアジア第5戦鈴鹿 GT4クラス3台による争い
2023GTWCアジア第5戦鈴鹿 マエザワ・レーシングの前澤友作チームオーナー兼総監督とSROモータースポーツ・グループの創設者兼CEOであるステファン・ラテル

■GTワールド・チャレンジ・アジア第3ラウンド/第5戦決勝レース結果

ファナテックGTワールド・チャレンジ・アジア・パワード・バイAWS

第3ラウンド/第5戦決勝レース結果

Pos. No. Class Team Car Driver Times/Gap

1 911 GT3 Pro-Am AASモータースポーツ・バイ・アブソリュート・レーシング ポルシェ911 GT3 R(992) V.インタラプワサク/K.バッハラー 1h21’06.116

2 500 GT3 Pro-Am チーム5ZIGEN ニッサンGT-RニスモGT3 HIROBON/川端伸太朗 6.715

3 18 GT3 Pro-Am ポルシェセンター岡崎 ポルシェ911 GT3 R(992) 永井宏明/上村優太 8.094

4 11 GT3 Pro-Am アウディスポーツ・アジア・チーム・アブソリュート アウディR8 LMS GT3 EVO II A.ハルヤント/J.ユー 14.795

5 2 GT3 Pro-Am クライマックス・レーシング メルセデスAMG GT3 EVO Z.ビーファン/D.リンド 17.579

6 555 GT3 Pro-Am マエザワ・レーシング フェラーリ488 GT3 P.ブロムバクディ/横溝直輝 17.873

7 87 GT3 Silver R&Bレーシング ポルシェ911 GT3 R(992) B.ユアン/L.イェ 17.952

8 22 GT3 Pro-Am KCMG ホンダNSX GT3 EVO P.イップ/E.リベラティ 18.082

9 13 GT3 Pro-Am アウディスポーツ・アジア・チーム・アブソリュート アウディR8 LMS GT3 EVO II S.ジンズー/F.チェン 19.010

10 333 GT3 Pro-Am ファントム・プロ・レーシング アウディR8 LMS GT3 EVO II X.アン/M.マック 28.351

11 72 GT3 Pro-Am ハブオート・レーシング ポルシェ911 GT3 R(992) M.チェン/A.パレンテ 31.654

12 5 GT3 Pro-Am プラス・ウィズ・BMWチーム・スタディ BMW M4 GT3 山口智英/荒聖治 37.204

13 4 GT3 Pro-Am R&Bレーシング ポルシェ911 GT3 R(992) L.ウェイ/P.ピレ 37.486

14 85 GT3 Pro-Am クラフト・バンブー・レーシング メルセデスAMG GT3 EVO J.リー/M.ゲーツ 38.868

15 992 GT3 Pro-Am アブソリュート・レーシング ポルシェ911 GT3 R(992) B.ジンロン/A.インペラトーリ 43.495

16 3 GT3 Am クライマックス・レーシング メルセデスAMG GT3 EVO B.イェ/H.ユーチー 45.968

17 14 GT3 Pro-Am ハブオート・レーシング・ウィズ・GTO ポルシェ911 GT3 R(992) B.リー/安岡秀徒 57.796

18 17 GT3 Pro-Am クレフモータースポーツ マクラーレン720S GT3 久保田克昭/三宅淳詞 58.021

19 37 GT3 Pro-Am クラフト・バンブー・レーシング メルセデスAMG GT3 EVO A.シュウ/D.ジュンカデラ 58.618

20 88 GT3 Pro-Am トリプルエイトJMR メルセデスAMG GT3 EVO H.H.プリンス・アブ・バーカー・イブラヒム/L.ストルツ 59.093

21 25 GT3 Pro-Am NKレーシング ポルシェ911 GT3 R(992) 内山清士/近藤翼 59.613

22 888 GT3 Pro-Am トリプルエイトJMR メルセデスAMG GT3 EVO H.H.プリンス・アブドゥル・ラーマン・イブラヒム/B.フィーニー 1:06.741

23 16 GT3 Silver ABSSAモータースポーツ マクラーレン720S GT3 澤圭太/井上雅貴 1:24.262

24 60 GT3 Pro-Am LMコルサ フェラーリ488 GT3 中西慧/脇阪薫一 1:35.142

25 29 GT3 Silver ファントム・プロ・レーシング アウディR8 LMS GT3 EVO II L.カン/C.チー 1:36.669

26 51 GT3 Am AMACモータースポーツ ポルシェ911 GT3 R(991.1) A.マクファーソン/W.ベン・ポーター 1:38.920

27 33 GT3 Pro-Am チームGMB メルセデスAMG GT3 EVO 羽田野宏明/細川慎弥 1:50.099

28 7 GT3 Am コメット・レーシング フェラーリ488 GT3 山﨑裕介/辻子依旦 1:58.355

29 360 GT3 Am ランアップ・スポーツ ニッサンGT-RニスモGT3 西川正明/田中篤 1Lap

30 50 GT4 Silver-Am YZレーシング・ウィズ・BMWチーム・スタディ BMW M4 GT4 G82 加納政樹/織戸学 2Laps

31 71 GT4 Silver-Am アキランド・レーシング トヨタGRスープラGT4 大山正芳/阪口良平 2Laps

32 718 GT4 Am チェックショップ・ケイマニア・レーシング ポルシェ・ケイマン718 GT4 RSクラブスポーツ 大塚直彦/小林翔 3Laps

NC 96 GT3 Pro-Am Kチューンズ・レーシング レクサスRC F GT3 藤井大温/新田守男 21Laps

NC 8 GT3 Pro-Am EBM ポルシェ911 GT3 R(992) S.サントソ/R.ハーカー 23Laps

NC 47 GT3 Pro-Am Dステーション・レーシング アストンマーティン・バンテージAMR GT3 星野敏/藤井誠暢

NS 19 GT3 Am ジ・スピリット・オブ・FFFレーシング ランボルギーニ・ウラカンGT3 EVO 大蔵峰樹/白坂卓也

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