“いつ”ドリブルをするのか。三笘薫が本気で語った「ドリブルをする・しないの判断基準」の話がおもしろい

新シーズンに向けて日本を旅立ち、ブライトン&ホーヴ・アルビオンに合流した三笘薫。

日本代表の6月シリーズもあったため決して長くはないオフだったが、トップアスリートとして日本では体を休めるだけでなく、様々な活動も行った。

その一つが契約しているPUMAの人気企画『上達加速術』への出演。第5弾の今回は、三笘による実践練習篇だ。

彼の地元川崎に新たに誕生した育成施設「Ankerフロンタウン生田」を訪れ、自身も小中高を過ごした川崎フロンターレ・アカデミーの後輩たちに指導を行った。

早くも引退後が楽しみになってしまう三笘の指導ぶりはぜひ動画を見てほしい。ここでは練習後に行われた質問コーナーでのやり取りを紹介したい。

三笘の代名詞とも言える「ドリブル」に関しての質問。川崎U-18で今季エースストライカーとして活躍するFW岡崎寅太郎が「ドリブルをする判断としない判断、どういう基準でしていますか」と尋ねると、三笘はこのように答えた(動画10分49秒から)。

「(ドリブルを)するしないの判断は結局そこでしかできないから、判断を変えられるスピードでやらないと意味がない。自分がそういうスピードで行って、最後スピードを上げきって、でも相手が来るから判断できない、ではダメ。

自分が(ボールを)操れるスピードの中でなるべく最速でパスをできるというところを、自分で見極めないといけない。全部が全部スピードを上げて、成功しなかったらが意味ないし、スピードを下げて全部パスが成功するならそっちの方がいい。

だからスピードをどれくらい上げた時に(周りが)見えなくなるのかといった見極めを自分でやっていかないと。でも常にトップスピードを上げる練習もする。両方を並行してやっていく。

でも、試合の中ではその練習はしちゃいけないよね。チームに迷惑をかけるから。だからそこは自主練でやったりする。

どのスピードだったらいいか。どのスピードだったら周りが見えるかというのは、これから身につけていけば見えるようになってくる。でもその“見えるスピード”でやらないといけない。OK?そんな感じ」

やや抽象的にも聞こえる話だが、実は具体性に富んでいる。

というのも、三笘は川崎フロンターレ時代に出演したTBS系『スパサカ』の特集企画において、以下のようなことを語っていた(動画10分59秒から)。

「大学で特に筋力トレーニングをやってスピードが上がったのは事実ですし、よく失敗しましたけど、とりあえずスピードを上げて仕掛けてみるっていうのは何度もやっていました。

もちろんその中で失敗がたくさん出てくるので、大学に行った理由というか、そういったチャレンジをする環境があったのでそこはすごく良かったなと思います。

スピードを上げてみないとわからないこともあって、その中で技術が発揮できなかったり、スピードを上げすぎて相手との間合いが悪くなったりもあるし。

そこが徐々に扱えるようになってきて、スピードを上げるタイミングとか、どこを見てやればいいのかが少しずつ分かってきたので、スピードを上げた状態での技術は磨いてきて良かったなと思っています」

筑波大学では4年間、同級生のDF山川哲史(現ヴィッセル神戸)と練習後に1対1を繰り返してきたことで知られる三笘。それ以外でも個人として行っていたのが、トップスピード下でのドリブルだった。

チャレンジする環境があったため、とにかくまずはドリブルのスピードを上げてみて、ボールコントロールや視野の確保などの“限界点”を探っていたという。

そうした自身の経験があったがゆえの今回のアドバイス。技術やフィジカル能力、駆け引きの部分だけではない、三笘のドリブルの深みを感じることができる内容だ。

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