冷房効かず、泥と格闘 津幡・かほく、浸水で故障

竹ぼうきと水で、流れ込んだ泥を洗い流す作業員=15日午後1時半、かほく市多田

  ●「臭いし暑い」体調不良も 

 大雨の被害が甚大な津幡町で15日、通水が再開した10集落の住民がホースの水で泥の汚れを飛ばすなど片付けに励んだ。2日ぶりに蛇口から出た水を喜ぶ一方、床上浸水で冷房が使えず、作業中に熱中症の症状を訴える女性も。冠水が解消したかほく市多田では、連休入りで駆けつけた親族らの応援で復旧が進んだ。「臭いし暑い」と住民は疲れた表情を浮かべながら「頑張るしかない」と前を向いた。

 「水が出たのは感謝やけど、電気はまだ使えないんや」。氾濫した能瀬川沿いに住む松本絹子さん(77)=津幡町中山=が顔を曇らせた。床上浸水した影響でコンセントに水が流入した可能性があり、漏電を防ぐためブレーカーを落としたままにしている。暑くて室内の片付けが大変だと嘆くが、「手のすいた近所の人に助けてもらっとる」と感謝した。

 中山の山本健司区長(69)は「断水は2日だけだったが体感では1週間のように感じた。これから水分補給など暑さ対策を呼び掛けていきたい」と話した。

 エアコンの室外機が水に漬かったケースも散見される。同町清水で妻と二人暮らしの山下公司さん(72)の家では、エアコン2台が使えなくなった。「床上浸水したので家の中の臭いも湿気もきついし、むーっと暑い。休憩しながら作業を進めるしかない」と苦々しい表情を浮かべた。

  ●ごみ処理施設車列80台 

 津幡町笠池ケ原の新三郎池は護岸の崩落から一夜明け、無残な姿があらわになった。

 津幡町領家の河北郡市クリーンセンターのごみ処理施設には次々と水に漬かった畳や家具などが運び込まれた。15日正午頃には順番待ちする70~80台の車列ができ、1時間待ちの状態となった。同町太田の宮﨑一弘さん(59)は「朝8時から5往復した。ごみを受け取ってくれる所があるだけ感謝せんなん」と前向きにとらえた。

  ●3連休親戚応援に

 津幡町、かほく市内では、連休を利用して親戚が応援に入り、復旧作業が加速する家もあった。納屋に保管した米が水に漬かった同市多田の髙橋義則さん(59)方には、姉と義兄、息子が駆けつけた。納屋の後片付けがはかどり、髙橋さんは「元気をくれて助かった」と力を込めた。

大雨の影響で決壊し、水が流れ出した新三郎池=15日午前9時、津幡町笠池ケ原(ドローンから)

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