西海みずき

 佐世保市中心部のアーケードにあるビルの4階は、学生や子ども食堂の関係者らが集う交流の場となっている。もとは西海みずき信用組合の本店があった場所。地域とのつながりを深めるために活用している▲二つの信用組合が合併し2018年に誕生した西海みずき信用組合。発足以来、コミュニティースペースを開設したり、地域おこしの経験が豊富な職員を採用したりして、地域振興に力を入れている▲こうした活動の積み重ねが、新型コロナウイルスが猛威を振るう中で本領を発揮することになる▲客足が途絶えた飲食店を支援するため、アプリを使って代金を前払いする「さきめしキャンペーン」を展開、寄付を集め困窮学生に無料で食事を提供する「まちの学食」にも取り組んだ▲地域とのつながりを重視したのは、先月退任した初代理事長の陣内純英さん。幼いころ佐世保に住んでいたことがあり、「郷土に帰ってきたので、地元の活性化に取り組まないと」という思いがあったという▲コロナ禍での小さな金融機関の支援活動は全国的に注目を集めた。「お金はかけなくても、アイデア次第でいろんなことができる」。退任直前に話していた言葉が印象的だ。交流で知り合った人たちが知恵を出し合い新たなことを始める。そうした活動が根付いていっている。(永)

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