斜面地の空き家で若者応援 佐世保「坂道のミランネ」 起業を後押し、街のにぎわいへ

県立大生が企画し、イラストやアクセサリーなどを出店したイベント=佐世保市、坂道のミランネ

 空き家を再利用したコミュニティースペース「坂道のミランネ」は長崎県佐世保市白南風町の斜面地にある。大学生ら若者の利用により、起業などを促進し、街のにぎわいを生み出す狙い。ミランネを管理する西海みずき信用組合の西信好真(よしまさ)さん(42)は「若い世代がやりたいことを夢中でできる場所に」と期待を込める。
 地上2階、地下1階(築60年以上)の母屋と、平屋(築46年)の2棟。5~7年程度空き家だったという。今後、内装のリフォームも検討している。
 利用の対象は、起業に興味を持つ若者ら。公益性の高い取り組みなどには優先して貸し出す。起業を目指す若者の相談にも応じる。西信さんは「地方は人口が少なく、起業に向かう若者も少なくなる」と見る。「○○をしたい」など若者の興味に火を付け、種を育てる「もう一つの段階が地方には必要だ」と意義を語る。ミランネで若者が起業の一歩を踏み出し「『ここに来れば、新しい挑戦ができる』と思ってもらい、身近なロールモデルを作らなければならない」と話す。今後は、地域で起業支援をしている大学教員や、市の支援センターとの連携も検討している。

空き家を再利用したコミュニティースペース「坂道のミランネ」=佐世保市

 先月、県立大佐世保校の学生が企画し、写真やアクセサリーなどを出店するイベントを開催。創作したイラストを販売した同大2年の永友真幸(まさき)さん(19)は「販売できる機会は都会しかなかった。佐世保にできたのはとても魅力的で、ありがたい」と笑顔。創作活動をなりわいにする難しさも感じながらも「対面で販売できる場がないと、作品をどうお金で取引するかわからない。良い経験が積める」と話した。


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