「戦没者の尊厳守る」 南部土砂の採取中止訴え糸満で集会 ガマフヤー支援者の会とうるま島ぐるみ会議

 【糸満】沖縄県糸満市米須の鉱山からの土砂採取に反対する集会が15日、採取予定地に面した農道で行われた。沖縄戦戦没者遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の支援者の会と、うるま市島ぐるみ会議の共催で約60人が参加した。ガマフヤー代表の具志堅隆松さんは「遺骨が残る土砂を新基地の埋め立てに使うのは明らかにおかしい。さらに全国に伝えることが必要だ」と訴えた。参加者は「戦没者の尊厳を守り、土砂を採取させないという声を広げる」ことを確認した。

 同日開催予定だった辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議の県民集会が新型コロナ拡大で延期となった。参加を予定していたうるま市島ぐるみ会議が土砂問題の視察を希望したことから急きょ規模を縮小して集会を開いた。

 具志堅さんはこれまでの経緯を説明。「遺骨が残っている開発予定地を県有地にするよう要請している。それにより開発を止められる」と現在の取り組みを話した。

 参加者は開発区域に隣接する自然壕「シーガーアブ」も見学した。支援者の会の北上田毅さんは「シーガーアブでは米須の7家族が亡くなったという記録もある。貴重な戦争遺跡が開発により崩落する危険性もある」と説明した。「県も慎重に対応している。それは県民や国民の注目があるかだ」と話し、さらに声を届けるよう求めた。

 うるま市島ぐる会議の照屋寛之共同代表は「私の母親の兄3人もどこで亡くなったか分からず、もしかしたら埋もれているかもしれない。南部土砂の採取は非人道的なこと。ここから土砂を出さないという声を上げていく必要がある」と呼び掛けた。

(岩崎みどり)

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