暑すぎる京都で、目にも涼しいアフタヌーンティーを堪能する

7月に入って厳しい暑さが続き、各地で33℃を超える毎日。そんななか、京都に見た目からして涼しそうな夏限定アフタヌーンティーがあると聞き、クロスホテル京都のレストラン&バー「KIHARU Brasserie」(京都市中京区)に駆け込んだ。

見た目からして涼しい! クロスホテル京都の「抹茶 サマー デライト」(5000円/要予約)

同ホテルの夏限定アフタヌーンティー「抹茶 サマー デライト」は、厳選された抹茶を使った6種類のスイーツと5種類のセイボリー、そしてスペシャルドリンクが味わえる限定メニュー。6月7日から登場しており、「夏らしいクラゲのグラスがかわいい」「かき氷スイーツがおいしく飽きずに楽しめる」など好評だという。

とはいっても、やっぱり気になるのはそのお味。筆者が感じた喜びを、ありのままお伝えしたい。溶けにくいよう作ってあるという氷スイーツは最後にとっておき、アフタヌーンティーの基本的な食し方に沿って、まずは5つのセイボリーから。

■ バランスが絶妙「いい塩梅」のセイボリー5種

升に入っているのは「よもぎバンズのサンドウィッチ」。からしマヨネーズを塗ったふわふわのバンズで、ロースハムに巻かれたレタスとチーズをサンド。爽やかな酸味とよもぎの風味がバランスよくマッチしており、とても優雅な気持ちになる。

北山杉の間伐材で作られたウッドプレートの上はスイーツとセイボリーがにぎやかに盛り付けられている

そのお隣には「ローストビーフとデュカのサラダ」。デュカとはスパイスやハーブ、ナッツを混ぜたエジプト料理に使われる調味料のこと。自家製だというローストビーフが、カレーに似たスパイシーな香りをまとって食欲をかき立ててくる。

そしてプレートの右手前に並ぶのは、「抹茶と京都ぽーくのキッシュ」「抹茶ポテトと柴漬けの春巻き」「よもぎ生麩のカプレーゼ」の3品。いずれもワインを追加注文したくなるような、絶妙な塩加減がたまらない。日頃から多彩な料理をふるまうレストランが手がけるセイボリーは、とても「いい塩梅」だった。

■ 甘さ控えめ、大人にうれしいスイーツ6種

続いてスイーツ。プレートに乗っているのは、軽やかなバターが特徴的な「抹茶マドレーヌ&ほうじ茶マドレーヌ」、あんことともに挟まれた抹茶バターがいい仕事をしている「白玉の抹茶どら焼き」。中央には、あんずを抹茶クリームで包み込んだ「抹茶大福」が佇んでいた。果物と抹茶の苦味って、こんなに合うんだという驚きが楽しい。

そして最後に紹介するのが、暑い夏にぴったりの冷たいスイーツ「冷やし抹茶ブリュレ〜抹茶練乳&苺のシャリシャリフローズンと」。まったく性質の違うブリュレとフローズンを別々に楽しんでも、かけて食べても、お好きなスタイルで。まずはそのまま冷たいブリュレを半分ほど楽しんだところでフローズンをかけてみると、口のなかでスムージーが誕生したような食感の変化があった。不思議!

冷やし抹茶ブリュレ ~抹茶練乳&苺のシャリシャリフローズンと

飲み物も充実。涼やかな青色を見せるバタフライピーを使ったウェルカムドリンクが1杯と、オーガニックティーやラテ、カプチーノなどのコーヒー、お茶やジュースがフリードリンクでセットに。まだ余裕があると思っていたお腹は気付けばもう、きっちり十分目となっていた。

■ 仲間からアイデアが集まりまくるメニュー開発

この幸福度を爆上げするメニューを考案したのは、このレストランで腕をふるう吉田沙和さん。季節ごとの限定メニュー開発を担当しているという。季節ごと、つまり3カ月に1度のサイクルでずっと考えるのって、アイデアに困ることあるんじゃないですか? 率直に聞いてみたら、意外な答えが返ってきた。

「日頃から皆さんアドバイスをくれるので、ひとりじゃないんです。アイデアに困るというよりも、アイデアをひとつにまとめるのに困る(笑)」

抹茶 サマー デライト」を手がけた吉田沙和さん(写真提供:クロスホテル京都)

アイデアをまとめるうち、涼やかな氷菓子をメニューに入れたい、でも溶けやすいゆえ会話をしながら時間をかけて楽しむアフタヌーンティーに向かないというジレンマが生じる。なんとしても、夏らしいデザートを時間の経過とともに楽しんでもらいたいとの思いを、製法の工夫で乗り越えた。

「普通のかき氷だと水になってしまうので、溶けにくいように練乳などの糖度が高いものやゼラチンを混ぜて水分が滲み出ないようにしています。ただ、合わせて食べたときのバランスを大切にさっぱりと仕上げました。なかなか難しかったのですが、これ!という味にたどり着きました」

そう話す表情はとても明るく、料理をすることが心から楽しい、そういう喜びに満ち溢れているのだろうと感じた。喜びを持ってつくられたものは、誰かの喜びとなって繋がっていく。思わずこころが弾む連鎖を確かに感じた。どおりで、幸福度が上がるわけだ。

レストラン&バー「KIHARU Brasserie」の店内。席数も多くゆったり食事を楽しめる

実際に食べた人には、「甘過ぎずバランスよく、ちょうどいいボリュームだった」と好評なようで、中には「こんなに形を保っているのはなぜ!?」と氷スイーツを不思議がる声もあるようだ。

「抹茶 サマー デライト」は2日前までの完全予約制・1名5000円。「冷やし抹茶ブリュレ〜抹茶練乳&苺のシャリシャリフローズンと」のみの単品・2500円(ソフトドリンク付)は、平日限定で予約がなくても注文できる(数に限りあり)。予約期間は9月3日まで、提供は9月5日が最終日となる。

取材・文・写真/脈脈子

KIHARU de アフタヌーンティー『抹茶 サマー デライト』

期間:2023年6月7日(水)~9月5日(火)
時間:11:30~16:30(最終入店14:30、ラストオーダー16:00)
場所:クロスホテル京都1階レストラン&バー「KIHARU Brasserie」(京都市中京区大黒町71-1)
料金:5000円(ウェルカムドリンク付、フリーソフトドリンク込、税サ込)
電話:075-231-8832(2日前までの完全予約制)

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