天国の母に成長した姿届ける 成田北・杉山 第105回全国高校野球 千葉大会 第7日

成田北―東京学館船橋 4回裏成田北1死一塁、石橋の二塁打でホームに生還する杉山=長生の森

 1、2回戦は九回に打線が奮起し劇的勝利を重ねてきた成田北。格上相手に再現とはならなかったが「確実にアウトを取り、ベンチの良い雰囲気を大事にできた」。継投した主将の杉山隼大は、集大成の夏を終えて朗らかな表情を見せた。

 4月、最愛の母、朋子さんをガンで亡くした。享年54歳。3月の入院前に「覚悟してほしい」と告げられ、動転する息子へ父、裕章さん(59)は「厳しいが野球に集中するよう伝えた」という。

 小学3年生から両親とともに紡いできた球歴、最後の大会で悔いを残してほしくない-。親心を察した杉山は、自室で涙を流してもグラウンドでは気丈にふるまった。別れを経験し迎えた夏は、「母のことを常に頭の真ん中に置いてプレーしてきた」。この日は単打で塁に出ると、後続の二塁打を横目に果敢に疾走、ホームに滑り込み初得点を奪取。反転攻勢へムードを高めようと突き上げた右手の指先には、仲間や応援団とともに母の遺影。心身とも成長した姿を天国に届けて見せた。

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