社説:PTA組織 時代に合った在り方模索を

 少子化に伴う人口減少が加速する中、学校を支えるPTAが改めて問われている。旧態依然とした運営は見直すべき時だ。

 草津市の志津南小で、登校時の立ち当番などの活動について、保護者が免除を希望する場合、PTAが診断書や母子手帳の写しといった証明書類の提出を義務付けていた。書類を基にPTA会長が聞き取りをするなどの手順を決めていたという。

 PTAは任意のボランティア団体だ。「義務ではなく、免除という発想がおかしい」という専門家の指摘はうなずける。

 持病や妊娠、出産などを理由に挙げているが、精神的な疾患も想定される。個人情報をさらすような行為は、人権侵害になりかねない。

 共働きや核家族化の増加を背景に、PTA活動を負担に感じる家庭は増えている。

 2014年に熊本で強制加入はおかしいと保護者が提訴し、PTAは入退会自由であると確認された。以降、入会届で意思表示ができる流れにはなったが、惰性のように体制や活動が変わらない組織もみられる。

 「立ち当番」や「旗当番」では、仕事で登校時間帯に通学路に立てない親もいる。それでも機械的に担当日を振り分けられ、立った日時をノートに記録して、次の担当者らに回覧する事例があるという。建前上は強制ではないとしつつ、同調圧力を感じる人もいるだろう。

 地区委員や広報委員などの役員選考で、立候補者が少ないと抽選で決めるPTAもあるようだ。こうした強制的な手法が、なり手不足に拍車をかける悪循環を招いてはいないか。一時しのぎはできても、いずれ限界を迎えよう。

 一方で、改革に取り組む動きも全国で広がっている。組織を解散して保護者会に替えた大津市立志賀小や、行事ごとにボランティアを募る方法にした京都市立岩倉北小PTAなど、身近な先進例を参考にしたい。

 近年注目されるのが、業務の一部をプロに外注できるPTA支援サービスである。

 千葉県流山市の小学校PTAでは、これを利用して「旗振り当番シフト作成ツール」を制作してもらった。シフトを組んでいた地区委員を廃止し、保護者が立つ場所や曜日、頻度などを選択できるようにした。

 役員が足りない時は、まずはそろったメンバーで可能なことを模索してみてはどうだろう。会議もオンライン活用をもっと広げられないか。

 PTAは保護者と教員が協力し、学校や地域で子どもを育むための組織であり、果たしている役割は大きい。だからこそ、役員以外の保護者も無関心であってはなるまい。

 多くの人が「やりたい」「これならできる」と自発的に関われる組織に向け、時代に合った運営への知恵を集めたい。

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