サンペール「応援をいつも感じて、とても幸せでした」 ヴィッセル神戸、鳥栖戦前に退団あいさつ

神戸退団が決まり、試合前にサポーターらの前であいさつするサンペール=16日午後、ノエビアスタジアム神戸(撮影・風斗雅博)

 J1ヴィッセル神戸を16日限りで退団するスペイン出身のMFセルジ・サンペールが同日、本拠地ノエビアスタジアム神戸(神戸市兵庫区)でサガン鳥栖戦前にピッチに立ち、サポーターらに向けてあいさつした。同じく1型糖尿病と闘う元プロ野球阪神タイガース選手の岩田稔さんも来場し、花束を渡した。

 午後6時過ぎ、チャント(応援歌)が流れる中、サンペールは手を振りながらピッチに登場。用意したボードを読み上げる形で、まずは日本語で「皆さん、こんにちは。4年間、素晴らしい時間を過ごしました。皆さんの応援をいつも感じて、私はとても幸せでした。これからもヴィッセル神戸のファンとして、チームを応援していきます」とあいさつした。

 続いてスペイン語で、思いの丈を口にした。

 「皆さんとクラブ史上初のタイトルを祝えたのは、かけがえのない思い出の一つです。自分のためにつくってくれたチャントを聞くたび、本当に感動します。想像できなかったほどの応援と愛情を毎日感じてきました。どこの選手にきいても、このようなファンが欲しいと答えると思います。世界で一番のファンの皆さんだと思います。ヴィッセル神戸、神戸のまち、そして日本はこれからもずっと私の心の中にあります。また皆さんにお会いする日を心待ちにしています」

 あいさつの後、サンペールは岩田さんから花束を受け取り、ゴール裏のサポーター席へと向かった。サポーターらと握手した後、響き渡るチャントに感慨深げに聞き入っていた。

 サンペールはスペイン1部リーグの強豪バルセロナで下部組織からトップチームに昇格し、2019年に神戸入り。精度の高いパスを持ち味とし、20年元日に決勝が行われた天皇杯全日本選手権では、同じくバルセロナ出身の元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタらとともに初優勝に貢献した。

 しかし、昨年3月に右膝前十字靱帯(じんたい)を損傷。今年4月、1年ぶりに公式戦に復帰したが、出場は4試合にとどまり、リーグ戦の出番はなかった。(藤村有希子)

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