迫力満点の声援率いる、たった5人の「応援部」八千代松陰/夏の高校野球千葉大会

迫力満点の声援率いる、たった5人の「応援部」八千代松陰/夏の高校野球千葉大会

 7月16日、敬愛学園と対戦し、4-2で勝利を収めた八千代松陰。

  県内最多レベルの野球部員が所属する八千代松陰は、スタンドにいる部員だけでも約100人。試合中は吹奏楽部約70人の演奏とともに力強い声援が球場に響き渡った。
  そんな、迫力満点の応援をリードするのは「応援部」だ。

 かつては部員数が100人以上だったという応援部だが、現在は2・3年生あわせてたったの5人。しかし、少人数でも部活名の通り、とにかく応援に全力を注ぐ。

 試合中の活動としては、展開をみながら選曲をしたり、それぞれが位置につき、ダンスの見本を見せたり、鼓舞する声をかけたり、メガホンを使うタイミングを前で見せるなど。 野球部や吹奏楽部はもちろん、一般生徒や保護者・OBなど総勢約200人を巻き込みながらまとめ、盛り上げる姿が見られた。

 「めっちゃ緊張します。でも、みんなが楽しそうにやっているので私も楽しいです」と話す、応援部 3年の望月美優(みゆ)部長。 

 中高一貫生のため、100人部員がいた時代の応援部を見ていて、憧れて入部した。

  “応援を盛り上げたい””選手たちに頑張ってもらいたい”、そういう想いを込めて、今大会では新曲を複数用意。それぞれの部活と連携しながら準備を進めてきたという。

 そのうちの1つは、八千代松陰OBでもある長岡秀樹選手(東京ヤクルトスワローズ)の応援歌。 

 長岡選手にとって初めての応援歌ということで、学校側から球団に連絡を取り「応援で使いたい」ことを伝え、使用許諾を得たという。

 また、アニメ【推しの子】の主題歌としても話題、YOASOBIの「アイドル」も今大会初披露。吹奏楽部の顧問がアレンジし、ダンスは踊りやすいように応援部みんなで考えた。

 16日も球場で「アイドル」が披露されると、SNSでは「取り入れるのが早い!」「野球部の合いの手めっちゃいい!!」「なかなかかっこいい」などと早速反響が。

 そのほかにも、盆踊りっぽい振り付けが特徴的な「八千代ふるさと音頭」も取り入れ、八千代松陰らしい「オリジナル楽曲」満載の応援が鳴り響いた。

 応援部の顧問を25年間務める 関口陽介先生によると、100人以上部員がいたのは7年前。“全員何かの部活に入らないといけない”という学校の決まりが無くなった数年前から部員数がガクっと減少したという。

「減少して、さらに追い打ちをかけるようにコロナ禍で声出しが禁止に。応援が思うようにできない状況が続きました。彼女らが入部した時は応援部がかなり沈んでいた時期でしたが、本当一生懸命にやってくれています」

 なお、関口先生自身も早稲田の応援部出身。「応援を作り上げる楽しさを知っている」ことから、生徒たちには応援部を通して色々と学んでもらいたいと話す。

「応援部の部活は週3日。発声練習や拍手の仕方、どういう風にリードしたらみんなが踊りについてこられるか、どうやったらみんなに声だしてもらえるかなどを研究してもらっています。まずは応援を楽しんで、その上でリードする楽しさを覚えてもらいたいです。部活をやりながらですが、社会に出た時でも“リードしていける”日本のリーダーを育てているつもりです」

 望月部長については「入部当初は内気で、人前に出るような子ではなかったですが、今では堂々と人前に立てるようになりました。ちょっとずつ色々なことが出来るようになってきて、本当に成長した。最初の頃と比べると本当別人のようです」と話した。

 一緒に応援を作り上げる吹奏楽部の鯨井真琴部長は、望月部長について「実は同じクラスなのですが、いつも応援にめちゃくちゃ魂込めていて、かっこいいです。私は吹奏楽部の約70人をまとめるのがやっとなので、保護者やOBまで巻き込むのは本当にすごい。尊敬です」と話した上で、「男子に負けないくらい声だしてくれていますし、選曲は盛り上がりを考えつつも、我々吹奏楽部の負担も考えながら指示してくれている」と気配りしてくれていることにも感謝を述べた。

 また、スタンドで一緒に応援する野球部員は「自分たち野球部だけじゃまとまらないから、ありがたいです」と話したほか、試合を終えた選手たちからも、「どの大会にも来てくれていて、応援部の存在が自分たちのプレーに活きています」「応援部を中心に声出してくれていて、プレー中も声援が聞こえます。有難いです」との声が。

 試合後、望月部長に話を聞くと、「すごく一致団結して盛り上がっていて、雰囲気良くできてよかったです」と全力を出し切った表情のさわやかな笑顔で答えてくれた。

「責任もすごく感じますが、その分やりがいがあってすごく楽しい部活だなと思います。部員募集中なので、ぜひ入って欲しいです!」

 八千代松陰の次戦は19日、拓殖大紅陵と対戦します。試合はもちろん、応援合戦にも注目だ。

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