【台湾】民進党、総統選へ結束示す[政治] 台北で党大会、頼氏が支持訴え

民進党の党大会で結束をアピールする頼清徳副総統(前列右から4人目)と蔡英文総統(同5人目)=16日、台北(NNA撮影)

台湾の与党、民主進歩党(民進党)は16日、台北市内で党大会を開いた。2024年1月に行われる総統選の同党候補で党主席(党首)の頼清徳副総統は「総統選は台湾の未来に関わるものだ。民主的で平和な台湾をつくる」と述べ、支持を呼びかけた。壇上では現職の蔡英文総統と固く握手を交わし、党の結束を強くアピールした。一方、台北市の総統府前の大通りでは、現政権の住宅政策などを批判する集会が開かれ、最大野党、国民党の候補に指名された侯友宜・新北市長と、台湾民衆党主席の柯文哲・前台北市長らが参加した。

民進党の党大会は台北市の老舗ホテル「円山大飯店(グランドホテル台北)」で行われ、総統選と同時実施の立法委員(国会議員)選挙の候補者や蔡氏、行政院(内閣)の陳建仁院長(首相)らが出席した。中央通信社によると、総統選を控え、民進党にとって初めての大型集会となった。

頼氏は国際情勢が大きく変化する中、「民主的で平和な台湾」をつくると強調した。「台湾は中華人民共和国の一部ではなく、引き続き『中華民国台湾』をもって台湾社会の団結を図る」と表明。民主憲政の体制を守り、現状を維持するとした。

対外的には理念の近い国とパートナーシップ関係を強化すると表明した一方、「対等、尊厳の原則の下、両岸(中台)人民の福祉の助けになるのであれば、中国との交流と協力を進め、両岸の平和と発展を促進することを望む」と述べた。

経済・産業の分野では「イノベーション」と「繁栄」を目指す考えを強調。「全面的にデジタルトランスフォーメーション(DX)を広め、次世代のテクノロジーのイノベーションに投資し、台湾経済のグレードアップを促進する」と述べた。台湾の半導体産業などの優位性を強め、世界の産業サプライチェーン(供給網)における地位を強化することも掲げた。

「台湾は再び民主と専制の分かれ道にある」と指摘した上で、自身の当選と立法院(国会)での過半数議席の獲得に向けて支持を訴えた。

続いて蔡氏が登壇し「頼氏は最も経験が豊富であり、国政の青写真を描いている。(蔡氏の総統任期である)8年間を基礎として国家を次の段階の繁栄に導いてくれる」と期待を表明。総統選の投票日である来年1月13日に「台湾の人民は再び選択をしなければならない。私は民主と人民、台湾、そして頼氏を信じている」と強調した。

■総統府前では集会

一方、総統府前の大通りでは16日、元立法委員らの呼びかけで「司法と居住の正義」を訴える集会が行われた。集会に参加した侯氏は自身が総統に当選した場合は詐欺を厳しく罰するなどして治安問題に取り組むと主張した。

頼氏は党大会で「われわれは政府への批判に正面から向き合わなければならない」と発言。総統府前の大通りで集会が行われていることに触れ「建設的な批判には耳を傾け、未来を変えるための原動力にする」と述べた。

台湾の民間シンクタンク、台湾民意基金会が6月20日に発表した世論調査によると、総統選で誰を支持するかとの項目で、36.5%が頼氏と答えた。柯氏は29.1%で2位、侯氏は20.4%で3位だった。

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