助っ人98人、津幡で奮闘 猛暑なんの大雨復旧に汗

浸水した民家から畳を運び出して軽トラに載せるボランティア=16日午前10時21分、津幡町竹橋

  ●災害ボラ活動開始 高齢者「若い人心強い」

 12日夜からの記録的大雨で被害が甚大な津幡町で16日、石川県内全域から募った災害ボランティアの活動が始まった。13市町から駆け付けた98人は猛暑の中、水分補給も念入りに、熱中症対策として決められた約3時間の片付け作業に励んだ。水に漬かった畳や家具などが手際よく運び出されると家はすっきり。被災家屋の高齢者は「若い人の助けは本当に心強い」と喜んだ。

 津幡町社会福祉協議会が町福祉教育プラザに開設した災害ボランティアセンターには、珠洲や金沢、小松市などから希望者が訪れ、午前9時の受け付け開始を前に長い列ができた。

 津幡川が越水した倶利伽羅地区の同町竹橋では、羽咋市の団体職員・寺島恵一さん(52)ら5人が、床上浸水した西藤哲夫さん(71)方の片付けを手伝った。寺島さんは昨年8月に発生した南加賀の記録的豪雨や5月の奥能登地震でもそれぞれ小松市と珠洲市で支援活動に取り組んでおり「被災者の大変さを思えば、今回もいてもたってもいられなかった」と汗を拭った。

 5人は、水にぬれて重くなった畳やタンスなどを軽トラックに載せ、地区の仮置き場に運搬。「殺人的な暑さ」(寺島さん)に苦(く)悶(もん)の表情を浮かべながらも、こまめな休憩や水分補給でしのぎ、依頼された作業を完了した。西藤さんは「自分だけじゃどうにもならなかったから本当にありがたい」と感謝した。

 ボランティアの中には「もっと力になりたい」と、つてを頼りに他の地区に移って復旧に力を貸す人もいた。

 集落全体が冠水したかほく市多田ではJA石川かほく宇ノ気支店の職員10人が、吉本千鶴さん(40)方など3世帯でボランティアに従事。吉本さんは「納屋がほとんど片付いてすごく助かった」と話した。

  ●住宅被害182棟に

 石川県の16日午後3時現在のまとめでは、大雨による浸水や破損などの住宅被害は津幡町118棟、かほく市57棟など計182棟となった。市町の確認が進めば、さらに増える可能性がある。

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